2013年のコンビニ業界を売上高・来客数と集客商品から振り返ってみる

↑ 昼夜を問わず地域社会を支えるコンビニ。今年一年の動向は?

コンビニ業界全体では拡大へ

単なる総合サービス販売店としてだけでなく昼夜を問わず最新のトレンド情報を発信し続け、さらに昨今では地域社会を支える拠点としても重要さを増すコンビニ。今年一年間の動向を、いくつかの切り口で振り返ることにした。主なデータはコンビニの業界団体である日本フランチャイズチェーン協会の公開値から取得している(現時点では2013年10月分まで公開済み)。

まずは「コンビニ業界全体としての」規模動向の把握。店舗数の増減状況と、売上高・来店客数の月次推移は次の通り。

↑ コンビニエンスストア店舗数推移
↑ コンビニエンスストア店舗数推移
↑ コンビニエンスストア・売上高と来店客数推移(前年同月比)(全店)
↑ コンビニエンスストア・売上高と来店客数推移(前年同月比)(全店)

2月の落ち込みは、前年同月にローソンで発売された、東日本大地震・震災の復興支援のための宝くじ(「東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじ、ローソン店舗でも発売」)が大いに売れたことの反動。それ以外は一様に拡大の動きにある。今年は10月までに店舗数で2000店近くも増加。各店舗毎の動向はともあれ、コンビニ業界全体では、この1年間で店舗数、売上、来店客数共に拡大成長の傾向にある。

既存店ベースでは客数横ばい、売上漸減

これを既存店(前年同月時点で存在した店舗のみを勘案)で、売上高・来店客数の月次推移を算出すると次の通りとなる。

↑ コンビニエンスストア・売上高と来店客数推移(前年同月比)(既存店)
↑ コンビニエンスストア・売上高と来店客数推移(前年同月比)(既存店)

来店客数・売上高共に、おおよそマイナス領域で推移。先の店舗全体(既存店+新装店)の動向と合わせて考えると、「コンビニ全体の来客数増加及び売上高拡大は、店舗数そのものの増加が支えており、各店舗単位での来客数・売上高は低迷している」ことになる。

新規開店店舗が増えれば、商用エリアが重なる店舗も増える。自社店舗同士ですら、客を奪い合う形になる。店舗数の増加に伴い、1店舗あたりの売上や来客数が減るのは必然といえる(売上に関しては商品の低価格化、利用客の節約志向も一因と考えられる)。

コンビニ業界全体として売上・来客数が増加している、領域が拡大しているのだから、個々の効率が多少落ちても構わないとする考え方もある。地域社会に密着したサービスを提供し、社会貢献がより一層求められている昨今では、「業界全体で対応できる地域、お客数を増やす」のが至上命題であることを考えれば、この戦略は正しいといえる。

部門別動向から集客商品の移り変わりをかいま見る

最後のグラフは、商品構成別売上高の前年同月比。

↑ コンビニエンスストア・商品構成別売上高前年同月比(全店ベース)
↑ コンビニエンスストア・商品構成別売上高前年同月比(全店ベース)

これまでコンビニを支えてきた集客商品、雑誌類とたばこ。双方とも「非食品」に該当するが、この部門が一番勢いがない。雑誌は紙媒体そのものの低迷に加え、ショーウィンドウ効果が薄れてきたことなどから、以前のような効果はすでに無い。販売実績だけでなく売り場面積も縮小中。たばこは今なお売上全体において大きな割合を占めているが、社会的情勢に伴い、今後縮小方向を示すことは必然。

低迷するかつての集客商品に差し代わる形で、今年のコンビニで目立った勢いを見せたのが、「惣菜」「ドリップコーヒー」「プリペイドカード」。「惣菜」は震災以降の中食志向の強まりに乗じるとなり、フライヤー商品を中心に販売種類を続々と増やしている。

「ドリップコーヒー」はリピート率の高さや「ついで買い」の誘発など、「たばこ」同様の効果が期待でき、しかも購入層はより幅広い。アロマ的効果も望める。店内にイートインコーナーを設けることで、雑誌に代わるショーウィンドウ効果を担わせることすら可能。「惣菜」「ドリップコーヒー」共に「日配食品」に該当するが、堅調さがグラフからもつかみ取れる。

そして「プリペイドカード」。ここしばらくの間に各コンビニで販売筐体が拡充され、多種多様なカードが販売される状況が展開している。インターネットの普及率上昇、スマートフォンやタブレット機の急速な浸透に伴い、オンラインゲームやオンラインショッピングを利用する人が増え、それに連動する形でクレジットカードを使えない・使いたくない・あえて使わないなど、多様な理由による需要が急増している。また、贈呈品として用いる事例も増えている。

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利用状況を考えれば、リピート率は比較的高い。店舗側に落ちるマージンは売り上げの数%と言われているが、単価が高いため利益も大きくなる。設置スペースも雑誌などと比べれば小さくて済む。

さらに防犯リスク上のメリットも大きい。展示してあるカードはレジで支払いと引き換えに手続きして、初めてアクティブ化(プリペイドカードとして有効になる)する。展示されているカードが盗難の被害を受けても、店舗のリスクは最小限で済む。

現時点で「プリペイドカード」が該当する部門「サービス」の売上高は店舗全体の数%でしかないが、今後社会的な変化が無い限り、成長が望める分野には違いない。現時点の伸び方に注目しながら、各社ともさらに積極姿勢を見せていくのは疑う余地が無い。

まとめると2013年のコンビニ動向としては「店舗数増加による全体規模・商用エリアの拡大」「店舗当たりの売上・来場客はやや減少」「集客アイテムの世代交代が明確化」となる。集客アイテムに関しては、雑誌もたばこも無くなることはありえないが、今後も規模縮小はほぼ確実とみられる。来年はさらに新世代のアイテムへの注力が進むことになる。今回挙げた「惣菜」「ドリップコーヒー」そして「プリペイドカード」の3品目は、間違いなくさらにコンビニ内での立ち位置を強化していくだろう。

あるいは今後、プリペイドカードと同じ販売スタイルで、電子書籍の販売も行う……ということすらありえるかもしれない。

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