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世界に挑むゴルファーに朗報。米欧両ツアーを相互に行き来できる新たな道! #ゴルフ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 世界の舞台に挑むゴルファーにビッグな朗報が届いた。

 日本の久常涼は欧州のDPワールドツアー経由で米国本拠のPGAツアーを目指し、小平智はPGAツアーに食い下がろうと必死の奮闘を続けているが、彼らのように世界で戦う全ゴルファーにとって、必ずや追い風となる新たな制度が確立された。

 10月23日(月)、DPワールドツアーのキース・ペリー会長は声明を出し、今季のPGAツアーのフェデックスカップ・フォール全試合終了時点で、フェデックスカップ・ランキングの126位から200位になった選手には、2024年のDPワールドツアー出場資格が付与されることを発表した。

 PGAツアーで翌シーズンの出場権が維持できるシード選手はフェデックスカップ・ランキングのトップ125名だが、シード圏外となった126位以下の75名に新たな戦いの場が提供されることになった。

 PGAツアーとDPワールドツアーは2021年に戦略的提携を結び、その一環として、DPワールドツアーのポイントランキングであるレース・トゥ・ドバイのトップ10でシーズンを終えた10名には、翌年のPGAツアー出場資格が付与されるシステムが昨年決まり、今年から実施されている。

 今回は、その逆向きの道、つまりPGAツアーからDPワールドツアーへ向かうことができる道が新設されたことになる。

 PGAツアーのフェデックスカップ・ランキング126位から200位の選手は、来季のDPワールドツアーにメンバーとして挑むことが可能となり、各試合に新設される「カテゴリー12」と名付けられる5名の枠を利用して、年間を通して戦うことができる。

 シーズン終了時にDPワールドツアーのポイントランキングでトップ10に入れば、再びPGAツアーに返り咲くことも可能となる。

 そして、今回はもう1つ、PGAツアーのシード選手にもDPワールドツアーへの新たな道が新設された。DPワールドツアーで年間4試合以上に出場すれば、「ノンメンバー」としてDPワールドツアーのレース・トゥ・ドバイのポイントを稼ぐことができることになり、上位に食い込むことができれば、DPワールドツアーのシーズンエンドのプレーオフ出場もビッグボーナス獲得も可能になる。

 DPワールドツアーのペリー会長は「昨年はわれわれのツアーの選手がPGAツアーへ行く道を開いてもらった。今回は、PGAツアーの選手がわれわれのツアーに来る道を新たに開くことができた。これこそが、米欧両ツアーの戦略的提携の賜物だ」

 9月にフランスでDPワールドツアー初優勝を挙げた久常は、DPワールドツアーのポイントランキングでトップ10に食い込んで来季はPGAツアーへ進む道を、今、まっしぐらに邁進中。昨年決まり、今年から実施されている「最先端の制度」を活用している選手の1人として注目されている。

 PGAツアーで2018年に初優勝を挙げたものの、近年はフェデックスカップ・ランキングのトップ125圏外となり、準シード資格あるいは下部ツアーとの入れ替え戦などを利用して、足かけ6年、PGAツアーに食い下がっている小平は現在ランキングで154位。

 残り2試合の成績次第では125位以内に入るチャンスがまだ残されている。だが、たとえ126位以下でシーズンを終えたとしても、本人が望めば、来季はDPワールドツアーに挑むことができる。

 米欧ツアーが相互に行き来することができる新たな道を整備したことは、これからDPワールドツアーに挑む選手にとっても、いきなりPGAツアーを目指す選手にとっても、世界に挑もうとしている日本人選手にとっても、間違いなくビッグヘルプになる。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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