ビッグ大会直前にクラブ13本紛失も「これも人生。OKだわ」。究極のポジティブ思考に拍手。#ゴルフ
女子ゴルフの米欧対抗戦「ソルハイムカップ」は今週末(9月22日~24日)にスペインのアンダルシアで開幕しようとしている。
しかし、米国チームの主力選手の1人、ダニエル・カンは開幕を3日後(米国時間)に控えた今、自身の武器である14本のクラブのうちの13本が手元にない大ピンチに陥っている。
米スポーツイラストレイテッド誌によると、カンはスペインに向かう飛行機に搭乗する際、ゴルフバッグをトラベルケースに入れて航空会社に預けた。だが、彼女のゴルフバッグはスペインには届かず、現在はどこへ行ってしまったのかわからない状況にあるという。
ゴルフバッグの中には13本のクラブが入れられていた。パターだけは「他にはないスコッティキャメロンの特注パターだし、これまでにも飛行機に乗る際にゴルフバッグを預けて、パターが曲がってしまったことが何度かあった。だから今回はパターだけは自分で持って飛行機に乗った」。
カンは大事なパターをピンク色のライフルケースに入れて、手持ちで飛行機に乗ったため、パターだけはカンと一緒にスペイン入りできた。
だが、他の13本はゴルフバッグごと消えてしまった。航空会社に問い合わせたところ、オランダのアムステルダム空港に届いた記録だけは確認できているそうだが、アムステルダムから先は世界のどこへ運ばれてしまっているのかが今なおわかっていないそうだ。
大事なソルハイムカップの開幕直前にクラブがないという大ピンチ。しかし、カンの対応は実に冷静で前向きだ。
「今、米国チーム・キャプテンのステイシー・ルイスとチームのみんながX(旧ツイッター)で私のゴルフバッグ探しを世界中に呼びかけてくれている。私のクラブを取り戻すことを、みんなが最優先で考えてくれている。ありがたいわ」
チームメイトへの感謝をそう綴ったカンは、ゴルフ用具メーカーの誠意ある対応にも感謝の意を示した。
「タイトリストが私のクラブのセカンドセットをすでに発送してくれて、今日、スペインに届くはず。ピンも私のクラブと同スペックのものを発送してくれて、それも今日、届くはず。だから、最悪の場合でも、それらのクラブで(開幕前に)練習する時間的余裕はあるから、良かったわ」
ピンは、カンと用具契約を結んでいるわけではないが、カンが同社のクラブも使用しているため、「同じものを!」と迅速に対応してくれたそうだ。そんなピンの親切心に彼女は深く感謝している様子だ。
さらにカンは、こうも言っている。
「私のクラブが大会開幕にぎりぎり間に合って届いてくれたら、すごいドラマ。まあ、これも人生、これもゴルフ。だから、OKだわ」
カンは今年の全英女子オープン開幕前にも、航空会社に預けたゴルフバッグの紛失事故に遭ったばかりで、今回は今年だけでも2度めの惨事だが、それでも航空会社に対する恨み言や不平不満を一つも口にせず、「これも人生、これもゴルフ」「だからOK」と言えるカンの懐の深さに驚かされる。
「少なくともパターは、ここにある。残りの13本も、きっとここに届くと信じている」
ゴルフバッグが届くことを祈っているが、たとえ届かなかったとしても、カンには究極のポジティブシンキングでピンチを乗り越え、最高のゴルフを披露してほしい。