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ゴルフ界の王者ウッズを「元恋人」が提訴した裁判に動き。「NDA(秘密保持契約書)に従うべき」

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

 タイガー・ウッズ(47歳)の「元恋人」だったエリカ・ハーマン(39歳)が、ウッズから「セクハラを受けた」「住む権利を約束されていたウッズ家から不当に追い出され、私物等も取り上げられた」として、ウッズを提訴し、3000万ドルの賠償金を求めている訴訟で、5月17日(米国時間)に動きがあった。

 ハーマンは、ウッズから受けたという「セクハラ」を裁判で追求していくために、ウッズと交わしていたNDA(秘密保持契約書)の無効化を求めていたのだが、AP通信などの報道によると、ハーマンが訴状を提出したフロリダ州内の裁判所のエリザベス・メッツァー判事は「NDAにサインしているハーマンは、あくまでもNDAに従うべき」ことを11ページにわたる書面で伝えたという。

 ウッズとハーマンが交際を開始した時期は、双方の主張が異なっているのだが、ウッズ側の主張によると、交際開始は2017年とされており、その際、ウッズはハーマンにNDAへのサインを求め、実際、NDAにはハーマンのサインがある。

 一方のハーマンは「契約書は見たこともない」「サインをした覚えもない」として、NDAの無効化を求めていた。

 だが、今回、裁判所からNDAが有効であることが言い渡され、NDAにサインしているハーマンは、ウッズとの交際時に知り得たウッズの秘密を「保持する義務がある」とされたことで、今後、ハーマン側がウッズのセクハラを立証することは、きわめて困難になったと米メディアは見ている。

 メッツァー判事は、「ウッズからセクハラを受けた」というハーマンの訴えは「曖昧で陳腐である」として、「どんなセクハラを受けたのか、明確で具体的な事例を出すように指示していたが、ハーマンからは何も提出されていない」と意見書に記しているという。

 ウッズとハーマンは2017年の秋ごろから試合会場でもプライベートの場でも仲睦まじい様子で寄り添っていた。ハーマンはフロリダ州ジュピターにあるウッズの豪邸でウッズの2人の子どもたちと一緒に4人で暮らすようになり、子どもたちもハーマンになついている様子だった。

 しかし、2022年10月にウッズとハーマンは破局。ハーマンによれば、「騙されて家を追い出された。バハマ旅行に行くから荷造りをしろと言われ、車で空港へ連れていかれ、その場で『もう家には戻れない。タイガーとは二度と会うことはない』と言い渡された」とのこと。

 ハーマンは「ウッズの自宅に無料で居住し、生活を保証される」という約束を交際開始時にウッズと交わし、その約束は「あと5年残っている」そうで、その権利を阻害されたことに対し、ウッズとウッズの豪邸の実質的所有者となっているトラストを相手取り、3000万ドルの損害賠償を求め、それとは別にセクハラ被害についても提訴している。今後の経緯を見守りたい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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