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歴史は繰り返す!?飛距離合戦、長尺ドライバー合戦

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
ZOZOチャンピオンシップで使っていたのは、すでに46インチだった(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

もはや米ゴルフ界はブライソン・デシャンボーの影響がとどまるところを知らない様子だ。

体重アップ、筋力増強によって、巨体化を図り、究極の飛距離アップによってマスターズ制覇を狙うデシャンボーは、オーガスタ・ナショナルへ48インチのドライバーで挑もうとしているが、マスターズ3勝の実績を誇る50歳のフィル・ミケルソンも長いドライバーで飛距離アップを図ろうとしている。

ドライバーのシャフトは、現在の米ツアーでは、44〜45インチが平均的な長さだ。ゴルフルールで定められている限界は48インチで、デシャンボーはその限界値である48インチに挑戦しようとしている。

長ければ飛ぶことは確かだが、長くなればなるほどコントロールは難しくなる。長いドライバーをきっちり振ることができなければ、長いドライバーを持ったところで、逆に飛ばなくなってしまう。

そんな事情を考慮した上で、ミケルソンは48インチではなく47.5インチでマスターズに挑むつもりであることを、今週のヒューストン・オープン会場で初めて明かした。

すでにミケルソンは46インチのドライバーでシニアのチャンピオンズツアーを戦い、優勝した。その後、レギュラーツアーのZOZOチャンピオンシップでも密かに46インチを試し、手応えを得たそうだ。

「オーガスタでは、1番、2番でバンカーを超えて行くためには、キャリーで最低でも315〜320ヤードを飛ばす必要がある。それはかなりのパワーが求められる。14番、17番で傾斜の上まで持っていくためには、やっぱり飛距離が必要になる」

そのための武器として、ミケルソンはキャロウエイのMavrick Sub Zero9に46インチのシャフトを試し、マスターズの際は47.5インチのシャフトを付けて臨むつもりだという。

ミケルソンと言えば、かつてドロー用とフェード用の2本のドライバーをバッグに入れて、周囲から何だかんだと言われながらメジャーを制した「実績」の持ち主。

今回は、長いシャフトというデシャンボー流に追随する形だが、長尺ドライバーで飛距離を稼ごうとする傾向は、言うまでもなく過去にも何度か巻き起こり、その結果、48インチが限界値に設定されたと言う歴史がある。

もしかしたら、オーガスタ・ナショナルでは、デシャンボーやミケルソン以外にも長いドライバーを持ち込む選手が出て来るかもしれない。

それが勝敗を左右するのかどうか。とても興味深い。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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