米ツアーは6月11日からの早期再開を目指しているが、他のスポーツに先駆けて再開するために「そこまでやるの？」という話が、またまた伝わってきた。これは、現在も開催されているアリゾナ州内のミニツアー大会に出場している米ツアー選手、ケビン・ストリールマンが明かした話だ。

「米ツアーは、すでにチャーター機を（複数）用意している。選手とキャディは全員、そのチャーター機で試合から試合へ移動することになるようだ」

　もちろん、いくらリッチな米ツアーでも、永久にそんな送迎を続けるわけではないはずで、チャーター機で全選手と全キャディを移動させるのは、おそらくは無観客試合を予定しているツアー再開直後の4試合＋その後の数試合という期間限定になるのではないだろうか。

　しかし、たとえ期間限定だとしても、チャーター機を複数用意して毎週、選手とキャディを移動させることに、どのぐらいの費用がかかるのだろうか。そこまでしてツアーを早期再開することに、本当に意味や価値があるのだろうか。選手たちは諸手を挙げて賛成しているのだろうか。

　そう問われたとき、迷うことなく「イエス」と答える選手は、どちらかと言えば、少なそうに思える。

　ストリールマンは「いいプレーをして、テレビ観戦する視聴者に楽しんでもらうことは、僕らのプライオリティなのだとは思う。しかし、ギャラリーのいない試合で優勝争いをしたところで、緊張や興奮が得られるのだろうか。サンデー・アフタヌーンの賑わいは僕らのゴルフの一部であり、そういうもののために僕らはゴルフをやっているんだよね、、、」と、戸惑い気味であることをうかがわせている。

　このミニツアー大会には、ストリールマン以外にも、アリゾナ在住の米ツアー選手やチャンピオンズツアー選手が４、5名ほど出場しており、その1人、ジョエル・ダーメンは、米ツアーが再開後の試合で毎週あるいは毎日でも入場する全員にPCR検査をするとしていることに強い抵抗感を示している。

「1週間に3回も４回も、あんな綿棒を鼻の中に突っ込まれるぐらいなら、試合には出たくないという選手がたくさん出て来るんじゃないかな？」

　もっとも、米ツアーが早期再開に向けて「100万セット以上、用意する」としている検査キットは、いわゆるPCR検査とは異なる簡易検査キットになるという説もあり、そうであれば、検査方法も異なるものになるのかもしれない。

　だが、「PCR検査敬遠派」のダーメンとは正反対に「十分な検査体制が整い、試合会場への入場者全員を対象に十分な検査が行なわれ、安全が確認されない限り、ツアーには戻りたくない」という「検査推奨派」も見られる。だが、どちらの「派」であっても、素直にツアーの早期再開を喜んでいないところは共通している。

　もちろん、選手たちの誰もが再びツアーで戦える日、大観衆との一体感を味わいながら優勝争いができる日を心待ちにしていることは間違いない。しかし、その方法論や基準に対しては、早期再開を目指して積極的に動こうとしている米ツアー側と、きわめて慎重な選手側の間で少々食い違いが生じている様子。

　今後の動向に注視したい。