プレーオフ第2戦こそが正念場。タイガー・ウッズ、松山英樹の可能性はいかに?

BMW選手権2日目を終えて、単独首位に浮上した松山英樹。久しぶりの優勝争いに挑む(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

  今週の米ツアーはシーズンエンドのプレーオフ第2戦、BMW選手権が行なわれている。今季からプレーオフ・シリーズは従来の4試合から3試合に減り、今週のBMW選手権終了後、フェデックスカップ・ランク30位以内に食い込んだ選手だけが来週の最終戦、ツアー選手権に出場できる。

 

 その意味では、今週は誰にとっても正念場である。

【タイガー・ウッズの可能性】

 米国、いや世界中のゴルフファンの注目は、タイガー・ウッズが「最終戦のツアー選手権に進めるかどうか」にある。

 ツアー選手権といえば、生涯4度目の腰の手術を受けて長期戦線離脱していたウッズが、2013年以来、5年ぶり、1876日ぶりに復活優勝を挙げた思い出深き大会だ。開催地アトランタの人々は、72ホール目のフェアウエイをウッズとともに闊歩した昨年大会の感動を「今年も、もう一度」と願っている。

 しかし、今季のウッズは4月にマスターズを制してメジャー15勝目、通算81勝目を挙げたものの、以後、成績は振るわない。というより、心身の疲弊を考慮して出場試合数を極端に抑えているため、ピンポイントで出場してもなかなか成績向上が見込めないという状態が続いている。

 今大会は今季ようやく12試合目。前週のプレーオフ第1戦、ノーザントラストは2日目のスタート前に脇腹痛でWD(棄権)した。

 今週の第2戦開幕前は「優勝を狙っていく」と威勢のいい言葉も口にしていたが、蓋を開けてみれば、初日も2日目も「71」と振るわず、48位タイで残り2日間に挑む。

 現在、ウッズのフェデックスカップランクは38位。30位以内に食い込んで来週のツアー選手権に進み、タイトル・ディフェンドに挑むためには、今大会でトップ10以内前後に入ることが求められる。

「週末はたくさんバーディーを取って、60代半ばぐらいのスコアで回らなければ、(ツアー選手権進出の)チャンスはない」

 ウッズ自身、諦めてはいない。ファンも諦めてはいない。今週、ウッズのドライバーショットの精度は上がっており、懸案はショートゲームとパッティングだ。グリーン周りとグリーン上で奇跡的な復調が実現されれば、週末の大挽回は不可能ではない。

【松山英樹の可能性】

 ウッズが週末に「MUST(不可欠)」だと言った「60代半ばぐらい」のスコアは、今週のメダイナCCでは、実現不可能な数字ではない。

ジャスティン・トーマスは初日にメダイナCCのコースレコードに並ぶ「65」を叩き出して首位タイへ浮上。そして2日目は松山英樹がコースレコードを2打も更新する「63」で回り、通算12アンダーとして単独首位に浮上した。

 松山は米ツアー5勝を誇る実力者だが、2017年の夏以降、すっかり勝利から遠ざかり、グリーン上で苦悩する姿が目立っていた。だが、この日の松山は面白いようにパットが決まり、9バーディー、ノーボギーの会心のゴルフで一気にリーダーボードの最上段へ駆け上がった。

「昨日(初日)の途中で気付いたことを上手く今日につなげることができた。ビッグスコアが出せたことは少し自信になった」

 膨らみ始めた自信が残り2日間の松山のパットをさらに上向かせる可能性はある。

 今大会をフェデックスカップランク33位で迎えた松山は、開幕前は来週のツアー選手権への進出を「こうなった以上は仕方ない。全力を尽くして、来週に進めればうれしいし、進めなければ、それが実力」と話していた。そんな「一か八か」の捨て身の姿勢が精神面にプラスの作用をもたらし、彼を押し上げているように思う。

 この勢いのまま今大会で優勝すれば、松山のフェデックスカップランクは3位前後に上昇する見込みだ。

 仮に3位で最終戦のツアー選手権を迎えたら、今年から新システムで競い合う同大会をランク1位の通算10アンダーから3打差の通算7アンダーでティオフすることになる。

 そこでも優勝すれば、自身初の年間王者に輝き、今年から増額アップとなったビッグボーナス15ミリオン(1500万ドル=約16億円)が転がり込む。

 不調だったパターが突然、好転したことをきっかけに、「正の連鎖」で単独首位に浮上したのだから、そのまま「正の連鎖」をどこまでも拡大させ、振るわなかったシーズンを最高のシーズンエンドで締め括る。そんな夢のようなストーリーを、日本の期待を担う松山が実現してくれるかどうか。

 残る2日間が楽しみでたまらない。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米。以後、米ツアー選手たちと直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を独特の表現で発信し続けている。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。26年間の米国生活に区切りを付け、2019年から日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、さらには武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。

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