「完璧じゃなくていい」を武器に全米オープン初制覇に挑むG・ウッドランドの最終日に興味津々

3日目は声援に応えていたウッドランドだが、初のメジャー最終日最終組はどうなるか?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 全米オープン3日目を見据え、首位と9打差だったタイガー・ウッズは「チャンスは出だしの7ホール。まだ戦える位置にいる」と優勝を諦めてはいなかった。

 しかし、いざ蓋を開けてみれば、ボギー発進となった3日目は出だしの7ホールで2バーディー、3ボギーとスコアを1つ落とし、後半はなんとか1つ戻してイーブンパー、71のラウンドだった。

 通算イーブンパー、27位タイは単独首位から11打差。もはや最終日に逆転優勝できる可能性は限りなくゼロに近いと考えるのが現実的だが、54ホール目をバーディーで締め括ったウッズは「明日に(優勝の)チャンスを残すことができて良かった」。

 依然、前向きな姿勢は、さすがネバーギブアップのウッズである。

【完璧じゃなくていい】

 2日目に単独首位に立ち、3日目もその位置を守り通し、通算11アンダーで最終日を迎えようとしているゲーリー・ウッドランドは、そのウッズから自信ときっかけを授かり、強くなった選手だ。

 すでに35歳。プロ12年目、米ツアー3勝を誇っているが、昨夏までのメジャー大会での成績はまるで振るわず、27試合でトップ10入りはゼロという惨憺たるものだった。

 そんなウッドランドに大きな変化をもたらしたのは、昨年8月の全米プロだった。2日目を終えて単独首位に立ったウッドランドは、決勝ラウンドでウッズと同組で回り、復活優勝をかけて戦っていたウッズの執拗なプレーぶりを間近で眺めた。

 最終的に勝利したのはブルックス・ケプカで、ウッズは2位。そしてウッドランドは6位タイに終わったが、そのとき彼はこう思ったのだそうだ。

「6位は望んでいた結果ではなかったが、メジャーで優勝争いをするとき、必ずしもショットがパーフェクトである必要はないと悟った。なぜなら、それ以外に僕を引き上げてくれるものがあるからだ。完璧じゃなくてもいい。それでも勝てる。そう思えたことは、大きな自信になった」

 メジャー大会で初めてトップ10入りしたウッドランドは、今年も全米プロで8位タイに食い込み、そして今、全米オープンでリーダーボードの最上段に付けている。

【メンタル面の勝負】

 「パーフェクトじゃなくていい」と思いながら戦っているウッドランドは、逆にパーフェクトに近いプレーを披露していると言っていい。

 初日の9番でボギーを叩いて以降、後半9ホールをノーボギーで回ると、2日目は18ホールをノーボギーで回り、単独首位に浮上。

 そして今日の3日目は、「チャンスは出だし7ホール」と言っていたウッズの言葉を代わりに実現するかのように、その7ホールで2つスコアを伸ばした。

 8番で今週2つ目のボギーを喫したが、後半は1バーディー、ノーボギー。限りなくパーフェクトに近いプレーぶりだった。

 ただ1つ、気がかりなのは、54ホール目の18番の終わり方だ。ウッドランドがバーディーパットを決め切れず、パーとしたのに対し、ジャスティン・ローズはバーディーパットを見事に沈め、1打差へ詰め寄る締め括りになった。

 ウッドランドがその展開もまた「パーフェクトじゃなくていい」と割り切ることができれば、何ら影響はないだろう。だが、最終日を迎える段階で、2打差か、1打差か、その違いは大きい。ましてやローズはすでに全米オープン覇者であり、メジャーでの優勝争いは何度も経験済み。そしてリオ五輪ゴールドメダリストでもある強者だ。

 一方のウッドランドは、明日、生まれて初めてメジャー大会の最終日を最終組で回る。3日目のラウンド後、米TV局のインタビュー席に座ったローズには笑顔を交えて答える余裕が見て取れたが、ウッドランドは硬い表情で必死にしゃべっているという様子だった。

「去年の全米プロで優勝争いは経験しているから、今夜、眠れるかどうかは問題ではない。明日の勝負で一番問われるものはフィジカル面よりメンタル面だ。自分のゴルフをするだけだ。フェアウエイの真ん中からアタックし続ける。そして、自分をコントロールするのみだ」

 昨夏の全米プロでメンタル面の収穫を得て強くなったウッドランドだけに、明日はメンタル面の強さを武器に勝負に挑む心積りでいる。

そう強く意識していることが、サンデーアフタヌーンの彼のメンタル面に、果たしてどんな作用をもたらすのか。

 最終日は全米オープンらしい我慢比べ、まさに精神力の勝負になる。そんなサンデーアフタヌーンに興味津々だ。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米。以後、米ツアー選手たちと直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を独特の表現で発信し続けている。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。26年間の米国生活に区切りを付け、2019年から日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、さらには武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。

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