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大統領自由勲章を授かったタイガー・ウッズ、記念スピーチで思わず涙し、言葉を詰まらせた

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
トランプ大統領夫妻、そして自身の家族に見守られ、勲章を授かったタイガー・ウッズ(写真:ロイター/アフロ)

 タイガー・ウッズが6日(米東部時間)、ホワイトハウスのローズガーデンでドナルド・トランプ大統領から大統領自由勲章を授けられ、記念スピーチでは思わず涙ぐむ場面も見られた。

 大統領自由勲章は米国市民にとって最高の栄誉とされている。これまで同勲章を授与されたゴルファーはジョージ・W・ブッシュ大統領から授けられたアーノルド・パーマー(2004年)、ジャック・ニクラス(2005年)、バラク・オバマ大統領から授けられたチャーリー・シフォード(2014年)の3人だけで、ウッズは史上4人目となった。

 栄えある授与式に臨んだウッズは、紺のジャケットに白いシャツ、赤いネクタイ姿。背後からトランプ大統領の手で青いリボンが付された勲章をかけてもらいながら、その重みを笑顔で感じ取っていた。

 トランプ大統領はウッズが築いてきた数々の功績を紹介し、とりわけ故障やトラブルからの復帰、復活ぶりを絶賛。「タイガーが次に何をやってのけるのか、待ち遠しくてたまらない」と興奮気味に讃えた。

 ウッズとともに出席していた母クルティダや長女サム、長男チャーリー、恋人のエリカ・ハーマンに見守られながら、ウッズはマイクの前に立ち、記念スピーチを行なった。

「大きな栄誉を授かった。人生の波が高いときも低いときも、みんなのサポートがあったからこそ、ここまで来ることができた」

 声援を送り続けてくれた人々、世界中のファンにお礼を述べたウッズは、家族に向けた言葉を続けた。

「1997年マスターズで優勝したとき、そこには父と母が居てくれた。母は、いつも、今も、ここに居てくれている。サンキュー、マム(ありがとう、お母さん)」

 ウッズは感無量の様子で目に涙を浮かべ、思わず言葉を詰まらせた。2人の子供たち、そしてキャディのジョー・ラカバにも、それぞれの名前を口にしながら「ありがとう」と伝えた。

 メジャー15勝、通算81勝を挙げてきたウッズが、スピーチでこんなふうに感涙し、言葉を詰まらせるのはきわめて珍しい。2006年に最愛の父アールが亡くなった2か月後の全英オープンを制したときは、その場で号泣したが、それ以外の優勝では「勝って当然」のウッズであり、大復活を遂げた昨年のツアー選手権や今年のマスターズ優勝後は、涙ではなく笑顔で人々とともに喜んでいた。

 黒人として初めて米ツアーのメンバーになり、黒人ゴルファーの道を開いた功績が讃えられ、大統領自由勲章を受章したシフォードのことを、ウッズは以前から「僕の唯一無二の祖父」と呼んできた。

「パーマー、ニクラス、シフォードに次いで、この大統領自由勲章を授かった4人目のゴルファーになれたことは大きな栄誉です」

 最高の栄誉に浸るウッズは幸せそうな表情だった。この幸せを次なる勝利へ、さらなる活躍へとつなげてほしい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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