新年早々、米ゴルフ界からの朗報に「とてもラッキー」と感じられる理由
年明け早々、米ツアーはハワイでセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズが開幕。昨季優勝者たちが集い、熱い戦いを繰り広げている。
その一方で、試合から離れた場から嬉しい知らせが届いた。あのモーガン・ホフマンが婚約したという。
“あのモーガン・ホフマン”と言っても、ご存じないと思うので、少々説明させていただこう。
オクラホマ州立大学ゴルフ部を経て、2011年にプロ転向したホフマンは、そのころから自分のスイングスピードが徐々に落ちていると感じ、25人もの医師を訪ねたが、なかなか原因はわからなかった。
原因不明のまま2013年に米ツアーにデビュー。2015年には夢にまで見たマスターズに初出場も果たした。
しかし、2016年11月に難病の筋ジストロフィーと診断され、1年後の2017年12月、自ら病気を公表。そのときホフマンが綴った言葉は驚くほど前向きだった。
「どんなこともアングルを変えて眺めれば、人生を笑顔でいっぱいにできる。そうすることが、僕がこの世に存在している意味。それができる僕は、だからとてもラッキーだ」
右胸には、ほとんど力が入らない状態。それでもホフマンは2017年序盤戦の9試合に出場した。
「筋ジストロフィーは治らないなんて僕は信じない。世の中、信じられないことがたくさん起こる。ウソみたいな素敵な話をいくつも聞いた。この病気を治したい。治してからツアーに戻り、僕のカムバック・ストーリーを大きな声で語りたい」
そう言って戦線を離れたホフマンは、ハーブ油のようなものを使う特殊な治療を3か月間受け続け、退院後の8月には故郷ニュージャージー州で自らチャリティトーナメントを開いた。
同じ病気の人々を助けるために自身で創設した「モーガン・ホフマン財団」の主宰。支援者、理解者、友人知人など総勢600人が参加し、集まった寄付金は150万ドル(約1億6000万円)超。「これこそが、僕の夢だ」と笑顔を輝かせていた。
自分の病気は必ず治ると信じ、ツアーから離れて闘病生活を送っている現在も、ホフマンはさらなる夢を膨らませている。
「誰もが健康になるためのヘルスセンターを創設したい。レストランのメニューには食材の産地も明記して、みんなが生活の中で食事の一口一口から健康で元気になれる手助けをしたい。夢に限界はないからね」
そうやって人々の役に立つことこそが、自分の存在意義であり、使命なのだと笑顔で語ったホフマンが、2019年の年明け早々、長年の恋人、チェルシーさんと婚約したことをツイッターで発表した。
「彼女は僕の夢の結集。彼女以上に愛に溢れた人に僕は出会ったことがない。そんなチェルシーと結婚できる僕は、だからとてもラッキー。いつも僕のそばにいてくれて、ありがとう、チェルシー」
人生で最悪の2018年が最高の年に変わったのだとホフマンは喜んでいる。
どんなときも希望を捨てず、どんなことにも、誰に対しても感謝を忘れず、前を向いて歩いていく。
そんなホフマンの朗報を新年早々に聞くことができ、勇気をもらった私たちも「だからとてもラッキー」。自ずと、そう思えてくる。