全英オープン覇者は「スーパー7」から生まれるか?

首位に並んだスピース、キスナー、6位のジョンソンらは、みな同じ家で寝泊まり中だ(写真:ロイター/アフロ)

 全英オープン3日目が終わり、リーダーボードの最上段には連覇を狙うジョーダン・スピースの名が光る。スピースと並んでケビン・キスナーの名前もある。3日目を首位で迎えたザック・ジョンソンは、やや後退したものの6位タイ。

 その3人が3人とも、今週、同じ民家で寝泊まりしていることが何とも興味深い。

 「スーパー7」と名付けられた2軒の隣接する民家には、実に7人の選手が一緒に滞在中だ。

 

 最年少は24歳のジョーダン・スピース。そして、親友のジャスティン・トーマス、リッキー・ファウラー。さらに、ベテラン選手のジミー・ウォーカーやジェイソン・ダフナーもおり、そして最年長は42歳のザック・ジョンソン。

 彼らが一緒に寝泊まりしながらの「合宿スタイル」を始めたのは2年前の全英オープン。昨年大会でも同様に「合宿」で挑み、今年は3年目を迎えているが、今年から新たにケビン・キスナーが加わって「7人体制」となった。

 そして、米国各地に点在する安モーテルの「スーパー8」になぞらえ、彼らは彼らの合宿場を「スーパー7」と名付けたのだ。

 億単位で賞金を稼ぐトッププレーヤーたちが、なぜ大事なメジャーウィークに、わざわざ合宿状態で一緒に滞在しているか?

 もちろん、経費節約というわけではない。大事なメジャー大会だからこそ、コースと宿の往復の際の交通(車)の便、アスリートが必要とする栄養バランスの取れた食事や諸々のモノ・コトの調達を考えると、不慣れな英国だからこそ米国人選手どうし「合宿したほうが効率的だ」とは、最年長のジョンソンの言。

 物理的に便利というだけではなく、気のおけない仲間と一緒に過ごすことは「精神的にもリラックスできていい」そうである。

 ライバルどうしがメジャーウィークに一緒に寝起きしていたら、逆に気になって夜も眠れないのではないかとも思えるが、どうやらそうではないらしく、「スーパー7」の選手たちのパフォーマンスは実に素晴らしい。

 ジョンソンの2015年の全英優勝は合宿体制を始める以前の勝利だったが、昨年はスピースが全英初制覇を果たし、生涯グランドスラムまであと一歩に迫った。

 そして今年は、そのスピースが大会2連覇に迫りつつあり、今年から合宿メンバーに加わったキスナーは、その途端に優勝争いへ突入。ジョンソンもスピースやキスナーから4打差の6位タイに付けている。

 「スーパー7」は、なぜ強いのか?キスナーは、こう言っていた。

 「メジャーとはいえ、みんな、いつもと同じように過ごしている。ルーティーンを守って、いつも通りのことをいつも通りに行なっている。彼らが僕より優勝回数が多いのは、彼らがそうやって平常心を保ちながら最小スコアを目指しているからだ。彼らはそうやって銀行口座の残高の0を増やしていることが一緒に過ごしてよくわかった」

 たったそれだけのこと。されど、それこそが大切なことなのだろう。気負わず、しかし気丈に、「いつも通り」を保ちながら戦い続けることの重要性を「スーパー7」が教えてくれたのだとキスナーは言う。

 明日の最終日。果たして勝者は「スーパー7」から生まれるだろうか――。もしも誕生したら、きっとゴルフ史に残るユニークな語り草になる。

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て、89年に独立。93年渡米。以後、米ツアー選手たちと直に接し、豊富な情報や知識をベースに米国ゴルフの魅力を独特の表現で発信し続けている。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。26年間の米国生活に区切りを付け、2019年から日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、さらには武蔵丘短期大学客員教授を務めるなど活動範囲を広げている。

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