「ぶっつけ本番」もありうる?タイガー・ウッズ、マスターズ出場はいかに?
【チャンスはある】
「ゴルフの祭典」マスターズまで、あと2週間となった今、出場できるかどうかが注目されているタイガー・ウッズが、ついに口を開いた。
「チャンスはある」。
しかし、「出る」ことはできても「戦える」かどうかは、もはや疑問だと言わざるを得ない。
ウッズが2位に12打差を付けてマスターズを圧勝したのは1997年のこと。あれから20周年を迎えた今年、ウッズの新刊本『1997マスターズ、マイ・ストーリー』が刊行され、3月20日(米国時間)、ニューヨークでウッズ本人によるサイン会が行なわれた。
その際、USAトゥデイ紙のインタビューに応じたウッズは、来たるマスターズに出る意志をいまなお抱いていることを明かした。
先週のアーノルド・パーマー招待の期間中、ウッズのマスターズ出場可否を巡って報道が二転三転するちょっとした騒動があったばかりだが、ウッズは「(マスターズに向けて)練習はずっと続けている。だが、ラウンドは一度もしていない」と自ら現状を語った。
マスターズウィークにオーガスタへ足を運び、火曜日の夜に開かれるチャンピオンズディナーに出席することは確かだ。だが、選手としてティオフするかどうかの決断は、試合の初日となる木曜日の朝まで猶予が設けられている。
【練習は続けている】
「練習は続けているが、ラウンドはしていない」というウッズの言葉をさらに詳細に分析すると、「球を打つ練習はしているが、1月のドバイ以後は、試合のラウンドはおろか練習ラウンドすら一度もしていない」ということになる。
ウッズは2015年8月のウインダム選手権で10位タイになった直後から、2度に渡る腰の手術を受けて戦線離脱。2016年シーズンは1試合も出場できなかったが、自らが大会ホストを務める12月のヒーロー・ワールド・チャレンジで16ヶ月ぶりに試合に復帰。優勝した松山英樹とともに笑顔で表彰式に立ち、松山のこれからも自身のこれからも「とても楽しみだ」と語った。
そして暦が2017年に変わると、1月のファーマーズ・インシュアランス・オープンで1年半ぶりに米ツアーに復帰。結果は予選落ちに終わったが、元気そうにクラブを振ったウッズの姿を目の当たりにして、ゴルフ界の救世主がようやく戻ってきたと安堵した関係者は多かった。
しかし、翌週に出場した欧州ツアーのドバイ・デザート・クラシックでは初日の夜に背中に痙攣を発症。2日目のスタート前に棄権を余儀なくされた。
以来、試合には1度も出られず、練習ラウンドすらできず、しかし「練習は続けている」というのが、ウッズの近況だ。
【マスターズだけは例外】
ウッズが マスターズ前に一度でも試合に出るとすれば、その可能性があるのは、マスターズ前週のヒューストン・オープンのみである。
だが、ウッズはこれまでヒューストン・オープンに出たことがなく、メジャー前週に試合に出たこともない。ただでさえ4日間の戦いに持ちこたえられるかどうかもわからない肉体だというのに、あえて2週連続出場に挑むとは考えにくい。そうなると、ウッズがマスターズに出るとすれば、「ぶっつけ本番」になることは、ほぼ間違いない。
出たとしても戦えるのだろうかと誰もが首を傾げたくなる。だが、ウッズいわく、「僕はオーガスタを熟知している。どこを狙うべきか、どこに外すべきか、すべてを知っている。だから、マスターズだけは、いきなり出ることも考えられる」と、オーガスタだけは例外であることを強調していた。
しかし、ウッズのそんな強気の言葉も、そろそろ人々の胸に響かなくなりつつある。
マスターズが間近に迫るこの時期に、ちょっぴり盛り上がったのは一部の米メディアのフライング報道と寒いニューヨークで新刊本購入者に入場を限定したサイン会だけというところが、なんとも淋しい。
それでも、いまなおウッズのマスターズ出場が取り沙汰されるのだから、まだまだ「ウッズ・イズ・ウッズ」なのだろう。
ウッズだからこそ、ぶっつけ本番でオーガスタに立ち、20年目の奇跡を見せてくれるかもしれない。そんな微かな期待をファンはやっぱり抱いているのかもしれないが、もはや私たちにできることは、祈ることだけだ。