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タイガー・ウッズがマスターズ欠場

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
得意のトーリー・パインズでも不調に終わった今季のウッズ。(写真/平岡純)

今季最初のメジャー、マスターズの開催を来週に控えた今日(米国時間1日)、世界ランク1位のタイガー・ウッズがマスターズ欠場を自身のウエブサイトで明かした。

ウッズは故障していた腰の手術を3月31日(米国時間)にユタ州内の病院で受け、手術そのものは成功したが、マスターズには出られないことを発表した。

「マスターズに間に合わせようと試みたが、ドクターを相談した結果、手術に踏み切った。僕にとってもマスターズは特別な1週間だが、オーガスタナショナルとそのメンバー、スタッフ、ボランティア、パトロンの方々には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。リハビリのためには今後もいくつかの試合を欠場せざるを得なくなると思う」

ファンに対してもお詫びの言葉を綴ったウッズは「フラストレーションが募るけど、今後のためにも、今、そうるすべき(手術すべき)とドクターに助言されたので」と、説明している。

ウッズの今季ここまでのプレーぶりは散々だった。米ツアーでは得意なはずのトーリーパインズで開催された1月末のファーマーズ・インシュアランスオープンで3日目のセカンドカットにひっかかり、振るい落とされて公式記録は80位。3月のホンダクラシックは最終日に腰痛のため途中棄権。続くキャデラック選手権はなんとか出場したものの、最終日は「78」を叩いた。そして翌々週には過去8勝を挙げたアーノルド・パーマー招待を欠場。

今季はいまだに3試合しか出場しておらず、セカンドカット1回、棄権1回で、4日間をプレーしたのが予選落ちのないWGC(世界選手権シリーズ)のキャデラック選手権のみという状態なのだ。

これでは腰痛の度合い次第でクラブが振れるか振れないかという問題より、試合から離れすぎてしまっているために優勝争いの際に求められる駆け引きや微妙な感覚を失いかけていると思われる。

さらに言えば、2008年の全米オープン以来、メジャー優勝から遠ざかっているウッズは、すでに38歳。ジャック・ニクラスのメジャー18勝記録を抜くためには、そろそろ勝たなければというプレッシャーも重くのしかかっている。

現在は世界ランク1位を辛くも保っているが、マスターズとそれ以降の成績次第ではアダム・スコットに王座を奪われかねず、いろんな意味で現在のウッズは追い詰められている。

そんな中、無理してマスターズに出場して、不甲斐ないプレーや姿や成績をさらすより、故障した腰の治療に専念すべきではないか。マスターズ欠場の判断の陰には、腰の治療に関するドクターの助言のみならず、そんな諸々の事情が関係したのだろう。

95年にスタンフォード大学の学生としてアマチュア出場して以来、ウッズがマスターズを欠場するのは初めてになる。

あの不倫騒動勃発後でさえ、公けの場に初めて姿を見せる場として10年マスターズを選んだウッズだが、不死身のように見えた虎も故障には勝てず、大好きなマスターズを欠場するという残念な決断に至った。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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