【全曲レポ】TM NETWORK 30周年ファイナル公演をミッション・コンプリート!

TM NETWORK 30th FINAL

2012年の武道館公演からはじまった、TM NETWORK30周年シリーズのコンサート全35公演が、昨晩3月22日の横浜アリーナでの『TM NETWORK 30th FINAL』をもってファイナルを迎えた。

TM NETWORK30年の歴史の集大成ともいえるFINAL公演は、シアトリカルな物語性を感じさせる、過去の名場面をステージに浮かぶ巨大LEDモニターに4K映像でアップ。映像に、新たな選曲をマッチングすることで、楽曲の印象をアップデートし、いわゆるライブ・リミックス的な、クライマックスが続く熱量の高いコンサートとなった。

ステージに登場したのは、TM NETWORKの宇都宮隆(Vo,Ag,cho)、小室哲哉(Key,cho)、木根尚登(G,B,cho)の3人に加え、前回ツアーから引き続き松尾和博(G)、Ruy(Per)。さらに、30周年を祝してTMN時代のレギュラーメンバーとして印象深い葛城哲哉(G,cho)、阿部薫(Ds)を加え、アニバーサリー・ライブに相応しいスペシャルな7名バンド編成となった。

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オープニングは、小室哲哉がセスナに乗るシーンからはじまる。TMの歴史を語る上で欠かせない“バトン”を地上へ放出しようとするギミックも見逃せない。BGMは、意外にも1991年にリリースしたアルバム『EXPO』収録曲のダンサブルなナンバー「Just Like Paradise 2015」の最新ヴァージョンだ。このセレクトはさすがに誰も予想が出来なかった展開だと思う。この驚きがTMらしさだ。

1曲目は、葛城哲哉によるギター・サウンドに人が喋っているようなイントネーションを加えるエフェクター、トーキング・モジュレーターを活用した「RHYTHM RED BEAT BLACK」が鳴り響く。90年代当時のダンサブルなパフォーマンスを彷彿とさせる宇都宮のアクションに、黄色い歓声が沸き起こる。

1987年にリリースされたアルバム『humansystem』のオープニングを飾った「Children of the New Century 2015」では、歌詞で予言者のように“新しい時代のドアの向こう側に何があるのか バイブルも神話にも 答えをみつけだせはしない ~ 今は見えないものがつかめる日が来る”と熱いメッセージを投げかけている。

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本楽曲は、2013年『START investigation-』では、宇都宮が手術後であったこともありオープニングでインスト・ヴァージョンで披露されたことから、今回リベンジといえる選曲である。

続いて、宇都宮がアコースティックギターを抱え、一瞬だけTMアンセム「ELECTRIC PROPHET(電気じかけの予言者)」の一節“Crete Island……”とつまびき歌ったことが印象的だった。ショーに徹するTM NETWORKはライブでは一切MCをしない。そんなこともあってか、宇都宮ならではのFANKS(※TMファンの名称)への30年の感謝のあらわれだったのかもしれない。そして奏でられる名曲「Here, There & Everywhere」は、“冬の神話”というサブタイトルを持つウインターソングだ。“覚えた冬の星座は 春になればすべて変わるだろう”の一節が、芳醇なメロディにのせてせつなく響き渡る。

4曲めで事態は一変する。小室による口語体の歌詞が新機軸となった2004年にリリースしたナンバー「SCREEN OF LIFE」で、本公演の意義がみえてきた。まずは詞に注目して欲しい。

“死に際のスクリーン とてもすてきな大作に クライマックスをつくりましょう 私もあなたもつくりましょう 愛する人にその人のためだけの上映会を行いましょう someday”。

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既存曲に対して、小室監修のもと撮影したオリジナル映像を合わせることで、新たな印象を生み出すことに成功したテン年代のTMスタイル。FINALへ向けて、クライマックスを演出する総集編の存在。もしかしたらそれは、愛する人(※FANKS)に向けた上映会=Information Discovery Reportというライブ・コンセプトだったのかもしれない。

2014年にリリースしたコンセプト・アルバム『QUIT30』におけるイントロダクションとなるプログレッシヴ・ロックなナンバー「Birth」では、宇都宮はステージをはけたまま戻らず、スクリーンには2014年の宇都宮と、現在のバンドメンバーが時空を超えたタイムマシン的なセッションを試みた。

そして、物語はTM NETWORK最大の成果ともいえる『CAROL組曲』へと誘う。ロンドンで生み出された個々の楽曲のクオリティの高さはもちろん、記憶に残る名場面としては、宇都宮が時を止めるシーンだろう。たった数秒ではあるが、会場の1万人のオーディエンスが一切言葉を発しない緊張感は、ひとつの目的に向かう“共感”という名の信頼感を生み出していた。宇都宮がまるでiPadを操作するように、手を左にスライドして大型LED画面を切り替えたシーンは謎めいていた。宇都宮が潜伏者である所以か、まさに5次元を操るかのように時間を支配していたのだ……。

『CAROL組曲』では、潜伏者だと告白したCarol Mue Douglasの存在も気になるポイントだ。小室、宇都宮、木根へとメッセージを贈る貫禄あるCarolの姿。この辺は、小室による小説『CAROLの意味』〈KADOKAWA〉ともアナザーワールドなリンクで繋がっていくので、ぜひ合わせてチェックしてみて欲しい。次元の違いを感じる展開だが、勝利の唄「Just One Victory」では、宇都宮がオーディエンスにコーラスを求め、観客たちがモニターに映し出されるシーンで“はっと、我に返った”。そう、会場に集まった我々も潜伏者であり、共に闘っていた歴史を思い返すのだった。

ここで、『CAROL組曲』が終了し、スクリーンには『INTERMISSION 15min.』の文字が浮かび上がる。何かの謎解きか? と一瞬構えたが、ようは休憩タイムであった。多くのオーディエンスがこの期間にSNSで情報をシェアしていたり、ライブの感想を語り合っていたのが印象的だった。

後半戦スタートは、以外にもカジュアルにゆったりとスタートする。木根によるソロパート「月はピアノに誘われて」だ。葛城によるスパニッシュ・ギター、Ruyのパーカッションと絡み合う歌謡センス溢れるメロディックなフレーズたち、木根による優しさに溢れる歌声が魅力的に鳴り響いていく。

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続いて、メンバー全員がふたたび集結してポップチューン「あの夏を忘れない」。宇都宮が好きだというキャッチーさ満載な本作は、「Be Together」の例に続いて、今の時代へのアイドルへの提供曲としても相応しいかもしれない。作詞は今やドラマ界の巨匠となり、近年も『Mother』、『それでも、生きてゆく』、『最高の離婚』、『問題のあるレストラン』などのヒットを連発し続ける坂元裕二が担当しているのも、タイムマシン感覚での時を超えた驚きだ。

終盤へのラストスパートを前に、ここで、TKこと小室による20分弱に渡ってEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)なソロパートがスタートする。いわゆるEDMサウンドではあるが、小室はDJではなく、シンセサイザーを両手足を使ってオーディエンスの反応を見ながらリアルタイムにサウンドをクリエイトしていく。まるで祭祀をつかさどる司祭のようにみえてくる。

途中「Self Control」や「DIVE INTO YOUR BODY」のフレーズを差し込みながら、徐々に会場がクラブのような雰囲気へとアクティヴに変化していく。空気感が変わっていくのだ。なかでも、Avicii風な印象を受けた木根によるカントリー・テイストなアコギをかき鳴らすパートは快楽ポイントが高かった。世界レベルでも通用するであろうTKのEDMテイストなシンセ・フレーズが鳴り響き、オーディエンスの盛り上がりも最高潮を迎え、ここぞとばかりに「Get Wild 2015」でのキラキラしたフレーズが舞い降りてくる。途中、小室の指示で炎が舞い上がる演出や、かつて聴いたことの無いほどの爆発するシーンも見所だ。サウンドと呼応するかのように、無数のレーザー光線が見たことのない動きで会場を扇情していく様も美しかった。

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そして、ラストスパートをかけるように、地球規模の愛を俯瞰の視点で歌った「We Love The Earth」、宇都宮が歌いはじめに「30周年ありがとう!」とメッセージを発した瞬間に発射された“金色の夢”のように輝くテープとともに、すべての感情が解放され最上級に盛り上がった「Be Together」、もはやTMアンセムとなった一体感がヤバすぎる名曲「I am」といった大切な楽曲たち。小室と木根がひとつのマイクでパフォーマンスする姿もレアだった。なお、「I am」直前に小室は宇宙を指差し母船とコンタクトをとっていたようにも見えた瞬間も忘れられない。そして木根作曲のTMが誇る至宝のロックバラード「Fool On The Planet」が7人で奏でられていく。LEDに映し出される夕焼けのシーンで見えた飛行機雲は、もしかしたら冒頭のセスナだったのかな、なんて妄想してみたり……。もう、ここまでくると胸が一杯に……。

ラスト「Electric Prophet」がBGMとして流れ、3人が横に並びダブルピラミッドのような光の中、手を振りながら煙とともに消えていく劇的なエンディング・シーン(※タイムマシンで時間を巻き戻して2012年の武道館へ飛ぶのかしら……)。TM NETWORKの辞書にはアンコールという文字もないのだった。本編エンドロール後には、「TM NETWORK FINAL ~ THANKS the FANKS!」の文字が。さらにモニターに「30年間、僕たちの傍らにあったバトンを託します」というメッセージとともに、とある謎のコードが左右スクリーンに投影されるというギミックが……。アクセスすると、メッセージとともに、“バトン”のデータを継承されたのであった。そんな間にも、中央では、30年分の歴代スタッフのエンドロールが流れ続けているという、粋な演出にも感銘を受けた。

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「The times go on, We move on.」

そもそも『TM NETWORK 30th FINAL』公演は、20周年のときの『DOUBLE-DECADE』や、2012年に復活した武道館公演『Incubation Period』のように人気シングル曲メインでの展開となると思いきや、コンセプチュアルな展開に徹したツアー『QUIT30』での成功、さらなる進化と結末をみせた拡張版『QUIT30 HUGE DATA』の大成功によって、『CAROL組曲』を軸にした現在のTM NETWORK最良の成果を伝えるショーとなったのが『TM NETWORK 30th FINAL』公演だった。実験精神とエンタメ精神の絶妙なバランスによって生み出し続けられたTM NETWORKの30年の物語が、ひとまずここに完成したのだ。

ステージには、オープニングにもエンディングにも“TM NETWORK FINAL”とロゴがアップされていた。この4年の活動ですべてを出し切ったTM NETWORKは某スポーツ紙の発表によると充電期間に入るという。小室はglobe20周年や、EDM的展開、作曲家活動へと止まることを知らずに走り続けるのだろう。木根もソロ活動の“RESET”期間を終了し“REBOOT”することで、シンガー・ソングライターとしてライブ活動を復活することを発表している。手術後体調が気になる宇都宮だが、今回の公演でのアグレッシヴなパフォーマンスを見る限り、安心することが出来た。次なる展開が楽しみだ。

TM NETWORKはプロジェクトで動く“個の連帯”だ。またいつの日かプロジェクトが“みえれば”3人が集まり同じステージに立ってくれることだろう。時代や機材が変わっても3人が集まればそれはTM NETWORKになるのだ。今はただ3人やライブメンバー、現場のスタッフの方々には感謝の言葉しかない。「金色の夢を見させてくれてありがとう!」。……これがTMファン=FANKSの素直な言葉ではないだろうか。

PS:ウツがCarol姉さんからバトンを受け取った追加映像って、横浜アリーナでしたよね。ほんと、すごいこだわりのチームだと思います。今回Carol姉さん(パニーラ)も会場に来ていて、お会い出来て感動しました。ていうか先ほど、TMのLINEで小室先生が“まだぎりぎり1ヶ月あるね”とコメントしてましたw さすがTM、まだ30周年は終わらない……、かもしれない!

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『TM NETWORK 30th FINAL』

2015年3月22日(日)横浜アリーナ 開場16時 / 開演17時

OP. Just Like Paradise 2015

01. RHYTHM RED BEAT BLACK 

02. Children of the New Century 2015 

03. Here, There & Everywhere 

04. SCREEN OF LIFE 

05. Birth 

06. CAROL 2015 M1

07. A Day In The Girl’s Life 

08. CAROL(Carol’s theme )

09. Gia Corm Fillippo Dia 

10. CAROL 2015 M2 

11. In The Forest 

12. CAROL(Carol’s theme )

13. Just One Victory 

【INTERMISSION 15min.(休憩)】

14. 月はピアノに誘われて

15. あの夏を忘れない

16. TK SOLO ~ Get Wild 2015

17. We Love The Earth 

18. Be Together 

19. I am 

20. Fool On The Planet 

END. Electric Prophet 

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