学校内で生徒とチョコを配り合った先生が懲戒!?バレンタインにちょこっと問題になった事件を弁護士が解説

(写真:アフロ)

弁護士の福永です。バレンタインデーがあと数日に迫っていますが、バレンタインデーでちょこっと問題になった事件について解説します。

前回は想定法律問題を解説してみましたが、今回は実際に問題になったケースです。

前回記事:お酒入りチョコを未成年者に贈っても大丈夫?バレンタインにちょこっと問題になりそうなことを弁護士が解説

学校内で生徒とチョコレートを配り合った先生が解雇!?

ちょっとばかげた話かもしれませんが、実はこれ、裁判にまで発展した事件です。

この学校は、首都圏でも有数のお嬢様学校でした。

そして、いろいろな厳しい校則があり、その中には、生徒が学校にお菓子を持ってきてはいけないことや、生徒が先生に贈り物をしてはいけないことが定められていました。

また、先生には、学校内の規則を守って、職場の秩序を保たなければならないという服務規律が定められていました。

このような規則や規律があったにもかかわらず、バレンタインデーに、ある先生が生徒との間でチョコレートを配り合ったところ、学校はこの先生の行為は懲戒事由に該当すると指摘しました。

もちろん、先生がチョコレートを生徒と配り合っただけでは、それが何かしらの懲戒事由に該当するとしても、違反の程度は軽いものだったのかもしれませんが、この先生には他にも様々な問題があったということで、学校側はこの先生を解雇処分にまでしてしまいました。

これに対して、先生は裁判を提起し、学校が指摘するような懲戒事由は存在しないし、仮にそのような事実があったとしても、解雇処分はやり過ぎで解雇は無効であると争ったのです。

なお、こういった労働事件では、まずは労働者(先生)に懲戒事由に該当する事実があるか否かということが認定され、その上で、そのような懲戒事由があったとして、下した処分が適正か否かということが判断されて処分の適法性が審理されます。

学校内で先生が生徒とチョコレートを配り合うことが懲戒事由に該当するか?

まず裁判では、この学校では規則上、生徒は先生に対して贈り物をしてはならず、それは手作りの品や、バレンタインのチョコレートなども例外として許されていなかったことが認定されました。

そして、この先生は、生徒との間でチョコレートを配り合うことによって、生徒が先生に贈り物をしてはならないという規則を生徒と共に違背したことになるとして、先生にとっても職場の秩序を維持すべき服務規律違反になることを認定しました。

さらに、この先生が生徒にチョコレートを配る行為は、生徒の歓心を買う(機嫌をとる)ことにも繋がり、他の先生との関係でも影響が出る可能性がある行為であって、上司に予め相談すべきところ、そのような配慮をせずにチョコレートを配った行為は、職場の秩序を乱すため服務規律違反にあたり、先生の行為は懲戒事由に該当すると認定しました。

解雇の適法性は?

裁判では、以上の懲戒事由に加えて、この先生が上司の職務上の指示を何度か守らなかったことなども併せて懲戒事由として認定されましたが、さすがにこれだけの懲戒事由を理由に解雇までしてしまうのはやり過ぎだということで、解雇処分は無効だと判断されました。

逆に、先生から学校への慰謝料請求は認められるか?

以上のとおり、学校から先生に対する解雇処分は無効と判断されましたが、他方、先生も学校に対して、違法な解雇処分をされたことによって精神的苦痛を被ったとして、慰謝料請求をしていました。

これについては、裁判では、確かに違法な解雇処分によって先生が精神的苦痛を被ったことは否定できないが、他方、先生側も先生集団内における協調性が不十分であり、学校の生徒に対する厳しい指導方針を理解しない行動が複数あったことも事実であって、学校側にとって、この先生をこのまま在職させた場合に学校全体の秩序に悪影響がもたらされると考えたことはやむを得なかったとして、慰謝料請求は認めませんでした。

最後に

この裁判は、先生が生徒とチョコレートを配り合ったこと以外にもいろいろな問題があったケースで、それだけで直ちにトラブルになるわけではないですが、一応、職場の規律次第では、いざトラブルになった場合には、不利に働いてしまうこともありますので、周りには十分に配慮してバレンタインデーを楽しむと良いかもしれません(とはいえ、バレンタインデーぐらい気楽に楽しめない学校や職場なんてつまらないかもしれませんね)。

※本事は分かりやすさを優先しているため、法律的な厳密さを欠いている部分があります。また、法律家により多少の意見の相違はあり得ます。