福田元首相「南京大虐殺」記念館訪問での言葉に、抗日記念館元職員・方軍氏が憤り

拙著を掲げる抗日戦争記念館元職員・方軍氏(方軍氏撮影)

 6月24日福田元首相が「南京大虐殺」記念館を訪問。抗日戦争記念館元職員で館長の日本人との腐敗を摘発して解雇された方軍氏は、日本人は真の歴史と現実に目をつぶって日中友好を唱え、民主活動家を切り捨てていると憤る。

◆福田康夫元首相が「南京大虐殺」記念館を訪問

 6月24日、福田康夫元首相が中国の江蘇省南京市江東門付近にある「南京大虐殺記念館(中国語の正式名称は侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館)」を訪問した。中国共産党の機関紙「人民日報」が大きく報じた。電子版「人民網」の日本語版にも同じ記事が転載されている。

 同記念館を訪れた日本の首相経験者は、村山富市、海部俊樹、鳩山由紀夫各氏に続いて4人目となる。

 福田氏は犠牲者に花輪を手向け、黙とうを捧げるなどの一連の行事を終えた後、記者団に「日本人はもっと過去の事実を正確に理解しなければならない。多くの日本人が記念館を参観すべきだ。より多くの日本の政治家に記念館を訪れ、この歴史に触れてほしい」などと語った。

 中国外交部の陸慷報道官も26日、「日本の有識者が歴史を正視し、平和を呼びかけた」として称賛の意を表明した。

◆抗日記念館元職員の方軍氏から憤りのメールが

 今年5月14日のコラム「中国の抗日戦争記念館元職員・方軍氏の告発――同館館長らの汚職隠蔽」でご紹介した方軍氏から早速メールがあった。長いので要約する。

1.私のウェイボー(微博、マイクロブログ)とウィーチャット(微信、WeChat)はすでに当局によって閉鎖されていますが、あなたが私の告発を日本で発表して下さってから、当局は私を罰する手段もなく、嫌がらせだけをしています。なんと、「腐敗撲滅」を謳っている習近平政権が、「腐敗」という単語に敏感になり、場合によっては一種の禁止用語として検閲の対象にし始めたのです。

2.私が勤めていた抗日戦争記念館では張承均・元館長らが抗日戦争寄金をネコババして免職処分となったあとに館長となった李宗遠氏が某日本人から賄賂を受け取ったり、記念館に献納された日本製の車を個人名義にしたことは前に書きましたが、抗日なんて表面上の建前だけのこと。それは抗日戦争記念館だろうと南京大虐殺記念館だろうと同じことです。

3.抗日を利用して寄金を集めたり、記念館の訪問客に「型通りの抗日ストーリー」を語ったりしますが、それらはポーズだけで、実際は「抗日」を口実にして金儲けをしているだけのことです。政府は抗日をスローガンにして政権維持をしようとしているだけのこと。

4.このたび日本の福田元首相が南京大虐殺記念館を訪問し、中国政府はそれを高く評価しています。日本人は利用されているだけなのに、福田は「日本人は真実を正視すべきだ」と記者団に言った。福田は「中国共産党の真実」を知っているのだろうか?その「真実」を正視しろと言う勇気はあるだろうか?

 あなたの『毛沢東 日本軍と共謀した男』に書いてあるように、日中戦争時代、中国共産党は日本軍と内通して、日本軍と戦っている国民党軍の軍事情報を日本側に高値で売りつけた。そうしておきながら「日本軍と勇敢に戦っているのは中国共産党軍だ」という偽情報を人民にばらまき、人民を洗脳した。

 今はその抗日戦争記念館の館長らは、口では「靖国神社参拝反対!」と言いながら、その日本人とつるんで懐を肥やしている。その腐敗を指摘した私を解雇して、「腐敗」の文字を検閲の対象にしているのです。

5.福田はすでに一私人かもしれませんが、しかし元日本国首相だ。その立場を利用して「本当の真実が見えないようにしている」のです。日本は、中国共産党の日中戦争時代の真実を覆い隠すのを手助けしているだけでなく、いま共産党政府の欺瞞と闘っている私たちを切り捨て、中国共産党政府の欺瞞を助けているのです。それが、これら日本の元首相らの言動であり、日本政府の態度だということに、日本は気が付いているのでしょうか?

6.気が付いていても見てみぬふりをしているのなら、これら元首相らの言動は「自己保身」以外の何物でもない。本当の正義感などどこにもなく、「日本は真実を正視すべきだ」などと言う資格はないでしょう。それは抗日戦争記念館の館長らが「靖国神社参拝反対!」などと発言する資格がないのと同じです。

 おおむね以上だ。

 昨日7月1日は中国共産党建党97周年記念日だった。

 中央テレビ局CCTVは「中国共産党生誕97周年、おめでとう!」という言葉に満ち溢れていた。

 方軍氏は、「中国共産党政権には、発言の自由は皆無だ!党を褒める言葉だけは強制的にでも言わせる。私は中国で何も発言できないのです。どうか私に力を貸して下さい!」と悲痛な叫びをメールで呼び掛けている。微力ではあるが、このコラムが、その一助になれることを祈ってやまない。