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“排除”の悪夢ふたたび 連合・神津会長による玉木イジメで露呈した合流新党の現実

安積明子政治ジャーナリスト
なぜ神津会長は「全員参加」に拘るのか(写真:ロイター/アフロ)

突然開かれた神津会長の記者会見

 立憲民主党と国民民主党の合流問題について、国民民主党側の産業別労働組合の組織内議員9名が合流新党に参加しないことを決定したが、連合の神津里季生会長は9月1日午後2時に連合本部で緊急会見を開き、3役会の申し合わせを発表した。配布された文書(「三役意見交換での申し合わせ事項」)には「連合構成組織の動向に関し、甚だしい事実誤認、誤報が流布されるなど、看過できない事態にある」とされている。

 では「甚だしい事実誤認、誤報」とは何なのか。どうやらそれは、新党に合流しない9名の議員が、玉木雄一郎代表が立ち上げる新・国民民主党に参加する可能性を報じられた件のようだ。神津会長は会見で、「(騒動の)根っこは玉木さんの8月11日の(分党)発言にある。(混乱の)原因を作り出した玉木さんのところに組織内候補が行くのは、許容できない」と玉木代表批判を繰り広げた。

思いが違う

 しかしながら9名のうちのひとりであり、パナソニック労組出身の矢田稚子参議院議員は9月1日夜にTwitterで「この間一貫して、合流新党の綱領についての修正を求めてきました。理念が確認されても、綱領に反映さるわけでもなく…。求め続けたことが叶わず、残念です」と呟いている。原発問題にどうしても妥協できないという苦渋の決断にいささかのぶれもないが、にもかかわらず、神津会長はいまだ「ひとつの党になるべき」との主張を変えていない。

最初にクレーム電話をかけた福山幹事長

 しかもこれには、立憲民主党の影がちらつくのだ。「誤報」を報じたメディアに最初にクレームをつけたのは、連合ではなく、立憲民主党の福山哲郎幹事長だったという。

「まず福山幹事長から電話があり、『それは誤報で、連合が明日会見する』と言ってきました」(大手新聞記者) 

 実際に9月1日午後の会見で、福山幹事長は次のように述べている。

「合流新党に民間労組の方々が参加しないことを決めたと言われているが、実はそのように認識していない。先ほども連合から報告があり、今日、臨時の三役会があり、昨日の夜から今朝にかけて出ている報道については、誤報が多いとの報告を受けている」

 そして福山幹事長は「6産別は申し合わせ通りに新党に対する支援は決めていただいているという認識だ」と語り、9名についても「今も丁寧に協議中なので、新党に行かないと決まったと承知してない」と明言。あくまで9名と産別との決定を無視し、彼らの政治的自由を認めないということになる。

野望のヒエラルキー

 さらに、最近では国民民主党の合流組の中ですっかりと代表のように振る舞っている小沢一郎氏は、1日の会見で「衆議院選が近いから、無投票で枝野幸男代表を選任すべき」と主張した。だが合流新党の代表選は、党員や地方議員に選挙権を認めず、国会議員のみが選任する。よって手続き的に煩雑さがない上、同時期に自民党が総裁選を行っているため、それが終わるまで衆議院の解散はありえない。要するに、代表選が大嫌いな枝野代表のご機嫌をとっているということだ。

 2017年の衆議院選で国政に野心たっぷりの小池百合子東京都知事にまんまと乗られ、民進党を分裂させた失敗を挽回することに邁進する神津会長と、それに乗じてただ新党のナンバーワンとナンバーツーの地位を保持したいという枝野代表と福山幹事長。そしてこれを奇貨に、小沢氏がまたまた政権に触手を伸ばそうとしているという構図だ。安倍晋三首相の突然の辞任により自民党総裁選が華やかに行われる影で、新たな野党第一党を誕生させるべく合流新党問題はこうして歪められていく。

 

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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