【同床異夢?】立憲民主党と国民民主党の統一会派結成が困難であるこれだけのワケ

立憲民主党も生き残りをかけている(写真:アフロ)

枝野氏が“合流”を呼び掛けた

 立憲民主党の枝野幸男代表は8月5日、国会内で国民民主党の玉木雄一郎代表と会談し、衆議院での“野党結集”を呼び掛けた。枝野氏はまた「社会保障を建て直す国民会議」の野田佳彦代表にもこれを提案。社民党の又市征治党首には立憲民主党の福山哲郎幹事長が打診した。

 そもそも枝野氏は「政党間の合従連衡には与しない」と政党ごとの合流を否定し、「立憲民主党に入りたければひとりひとりで来い」という立場を堅持していた。にもかかわらず、今回はまさに180度の方針転換だ。枝野氏はその理由として、「ステージが変わった」と会見で述べている。

埋没しかねない危機感

 そもそも「ステージが変わった」とは何か。それは「れいわ新選組」(以下、れ組)の出現をきっかけとしたものだろう。2017年の衆議院選で枝野氏がひとりで立ち上げた立憲民主党は、人気絶頂だった小池百合子東京都知事を頼みにした希望の党の50議席を上回る55議席を獲得した。

 ところが7月の参議院選で、立憲民主党は24議席から32議席と8議席増やしたものの、比例区では衆院選と比較して317万票も減らしている。また兵庫県選挙区、大阪府選挙区、京都府選挙区、静岡県選挙区や山梨県選挙区など、かなり注力した選挙区で敗退。ブームはそう長く続くはずはない。

 一方で山本太郎氏がひとりで立ち上げたれ組は、比例区で228万票を得て2議席を獲得。その勢いで次期衆議院選では「100人を擁立して政権交代を目指す」と意欲を燃やしており、このままでは他の政党が喰われかねない勢いだ。さらに10月で衆議院は任期の折り返しを迎え、いつ解散があってもおかしくない。

「政権の選択肢としての期待と信頼を高めるには、『数の力』を背景とした与党に対抗しうる強力な構えが必要であることを認識するに至りました」

 5日に枝野氏が玉木氏に渡した文面からは、野党内での優越的地位をいち早く確立したいという立憲民主党の焦りに近い思惑が読み取れる。しかしながらその内容は、参議院選前に市民連合が求めた13項目の政策項目の他、立憲民主党の憲法の考えや原発政策、選択的夫婦別姓や同性婚などへの合意を要求するもので、すなわち「立憲民主党の軍門に下れ」という意味に他ならない。

国民民主党の不信はつのる

 これについて国民民主党の泉健太政調会長は早速「『統一会派』結成の提案ではなかったということか???」とツイッターで疑義を述べ、同党の原口一博国対委員長もこれにかぶせて「これまで言ってきた事とほぼ同じ?個人の資格で合流せよと?だとすれば統一会派ではない。これを本気で言っているとしたら失望を隠せない」と批判した。

 さらに反発が強いのは参議院側だろう。7月の参議院選で国民民主党は、23議席から21議席に減らしたものの、かろうじて踏みとどまった感が強い。

 その不満が噴出したのが、2日に開かれた両院議員懇談会だ。参議院選の総括が行われたが、立憲民主党に対する鬱積した不満が一気に噴出。「あいつらは敵だ!」と過激な発言まで飛び出したという。

 参議院選ばかりが原因ではない。民進党を受け継いだ国民民主党には、旧民主党政権時の「悪夢」が付きまとう。菅直人元首相や野田佳彦首相など政権の中枢にいた人たちがすでに国民民主党から去ったにもかかわらず、彼らが残した“負の遺産”にいまだ苦しめられているという不満もある。

 自民党に近い参議院側からは、自民党や日本維新の会との連携の声も上がる。しかし玉木氏は立憲民主党との統一会派に希望を託す。ただしその形は衆議院のみの院内会派を求める枝野氏の提案には遠いものだ。

福山氏は幹事長に専念するが……

 なお参議院立憲民主党では、幹事長の福山哲郎氏が5日に会派代表を辞任することを表明。今後は党幹事長職に専念することになる。福山氏は立憲民主党が立ち上がった直後から参議院の院内会派代表を務めていたが、かねてから交代論が強く、会派代表選は6月に決定していた。選挙は9月に行われる予定だが、果たして野党の構成はどうなるのか。8月下旬にはフランスのビアリッツでG7主要国首脳会議が開かれ、9月中旬からは国連総会が始まる。その後に臨時国会が開かれると思われるが、令和最初の大きな政局となる