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【通常国会スタート】安倍首相の施政方針演説にみる日韓関係の”距離”

安積明子政治ジャーナリスト
施政方針演説を行う安倍晋三首相(写真:ロイター/アフロ)

あっさりとした施政方針演説

 第196回通常国会が始まった。初日の1月22日、安倍晋三首相は施政方針演説を行い、韓国について「韓国の文在寅大統領とは、これまでの両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で、新たな時代の協力関係を深化させてまいります」と簡単に述べるにとどまった。

 隣国同士でありながら、日韓関係に関する記述があまりにあっさりとしすぎているという印象を抱いたのは、筆者だけではないだろう。実際に日韓両国の間には、様々な問題が横たわる。まずは2月9日の平昌オリンピック開会式に安倍首相が出席するか否かの問題だ。日本としては本来、隣国として首脳が出席してセレモニーに華を添えるべきところだが、文在寅政権は昨年12月、2015年の日韓慰安婦合意を一方的に事実上破棄することを表明した。そもそも国際条約を一方的に破棄することは許されない。しかもこの合意は、アメリカなどから高く評価されたものだった。

根深い竹島問題

 懸念はまだある。竹島問題だ。2月22日は竹島の日。島根県が帰属を告示して100周年目の2005年に制定以来、島根県が毎年記念式典を行い、安倍政権は2013年から政府代表として内閣府政務官を派遣してきた。

 文大統領はこれについても挑発的だ。日韓慰安婦合意を事実上破棄する宣言を行った翌日の12月28日、韓国海軍、海兵隊及び海上警察に竹島周辺の防衛訓練を実施させている。訓練は「外部勢力の侵入を阻止する」という名目で行われたが、日本を“仮想敵国”に想定していることは間違いないだろう。

 もっとも軍事訓練は1か月前から予定していたもので、格別の意図はないというのが韓国政府の言い分だった。ならば慰安婦合意の事実上の破棄も、かねてから練られていたものだったのか。

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歴史認識問題に終わりはないのか==

 そもそも文大統領は、日本との歴史認識問題をうまく政治利用してきた。大統領選の前の2016年7月25日には竹島に上陸し、芳名録に「東海のわが領土」と書き込んだ。2017年11月にトランプ米国大統領が訪韓した時、晩さん会に元慰安婦の李容洙氏を招き、メニューに「独島エビ」を入れた。トランプ大統領の待遇は国賓で、全ての行事の内容は国の主張として真剣かつ丁寧に練られてきたものであるはずだ。

 平昌オリンピック開会式出席問題の後も、日韓両国には依然として歴史問題が障壁となるだろう。安倍首相の施政方針演説に見る韓国に関する記述には、その懸念が漂っている。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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