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【希望の党代表を突然辞任!】国政を夢見る間に、小池知事は四面楚歌に

安積明子政治ジャーナリスト
11 月14日の希望の党両院議員総会であいさつする小池知事(写真:つのだよしお/アフロ)

50日めの辞任発表

「私自身が立ち上げました」

 小池百合子東京都知事が誇らしげに「希望の党」と書かれたプラカードを掲げ、設立を宣言した会見からちょうど50日目。11月14日夕方に開かれた同党両院議員総会で、小池氏は「国政はみなさんにお任せしたい」と語り、希望の党の代表を電撃辞任した。

 華々しいスタートを切った割には、終わりはあっけないものだった。それもそのはずで、この50日の間に小池知事の人気は急降下。11月12日投票13日開票の葛飾区議選で都民ファーストの会は5人の候補を擁立したが、当選したのはわずか1人のみだった。

 7月の都議選では、葛飾区の都民ファースト公認の米川大二郎氏は5万1241票を獲得。ところが4カ月後の区議選では、公認候補5名の得票数を合わせても1万に満たなかった。

 葛飾区といえば都議選で、小池知事が故・樺山卓司都議の自殺の原因を巡り、京子夫人とともに「内田茂前自民党東京都連会長の苛めがあった」と主張したところ。米川氏は樺山氏の元秘書という関係だから、同情票も入ったのだろう。

百合子グリーンも封印か

 しかし今回は、小池マジックも威力をなくした。そういえば最近、小池氏は“戦闘色”である百合子グリーンのジャケットを着用していない。「排除発言」の責任を問われ、ほとんど吊るしあげ状態になった10月25日の党の両院議員懇談会では、黒のノーカラージャケットだった。衆院選の敗北が濃厚になった投票日前日に、逃げるようにパリに飛んだ時に着用したものだ。

 代表辞任を発表した11月14日も、黒系のジャケットを着用。わが身に弔意を示す意味でもあったのだろうか。

 「これからは都政に専念する」というが、肝心の都政も困難続きだ。「友党」だった都議会公明党の東村邦浩幹事長は14日夜、いきなり連携解消を口にした。

 そればかりではない。東村氏は「必要とあれば自民党とも対話もしていきたい」と、昨年12月に関係を断ち切った都議会自民党に秋波を送っている。これでは味方がいきなり敵方に寝返ったようなもので、小池知事にとっては最大のピンチといえる。

泣きごとを言っても後の祭り

 ただし小池知事は15日、シンガポールへ出張する前に取材陣に対して「(公明党とは)これまでも是々非々だった」と述べ、公明党との連携の姿勢を崩していない。

 果たしてこれからの小池都政はどうなるのか。豊洲移転問題や東京五輪を巡る環状2号線建設問題など、課題は山積だ。都職員の中には早々と「小池知事は任期をまっとうできるのか」との声も上がっている。

 国政への夢を追いかけていた間に積もったツケは、予想以上に大きい。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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