パラリンピック・ドキュメンタリー『WHO I AM』シーズン3がいよいよスタート!

番組チーフプロデューサーの太田慎也氏(筆者撮影)

WOWOWとIPC(国際パラリンピック委員会)の共同プロジェクト『WHO I AMーこれが自分だ!という輝きー』。世界最高峰のパラアスリートに迫るスポーツドキュメンタリーシリーズのシーズン3の放送が、10月25日から始まる。

車いすバスケットボール界のマイケル・ジョーダンこと、カナダ代表のパトリック・アンダーソン、オリンピック・パラリンピック両方に出場する卓球の絶対女王、ポーランドのナタリア・パルティカ、水泳の全盲クラスでその名を世界に轟かす日本の木村敬一ら、今シーズンも世界を主戦場に戦う8名のパラリンピアンが登場する。

番組では、選手としての努力や苦悩、日常生活を楽しむ姿が自然体で映し出される。画面を通して伝わってくるのは、「ひとりの人間」としての魅力だ。

オフィシャルホームページでは、シーズン3のダイジェスト映像も公開されているので、番組詳細はぜひそちらでチェックしてほしい。

IPC&WOWOWパラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ『WHO I AM』

先日、教育事業を展開する(株)学研教育みらいの媒体取材で、チーフプロデューサーの太田慎也氏に番組について話を聞く機会があった。学研教育みらいさんと太田氏双方から許可をいただいたので、番組制作のこぼれ話について少し紹介したい。

パトリック・アンダーソンは、あの世界的アスリートが推薦!?

シーズン3に登場する、車いすバスケットボールのパトリック・アンダーソンは、シドニーとアテネ、ロンドンパラリンピックで金メダル、北京で銀メダルを獲得している。その後、アンダーソンが代表を退いたカナダは、リオ大会で12チーム中11位という結果に。「若い奴と一緒にメダルを獲ってやりたい」と、彼は東京に向け復帰した。そのアンダーソンを太田氏に推薦したのが、シーズン1に出演した車いすテニスの国枝慎吾だった。

「国枝選手と仲良くなって、このシリーズは2020年まで続くので、おすすめの選手がいたら教えてください、とお願いしていたら、マメに連絡をくれまして。それで、『あいつのチェアワークは半端ない』って最初に挙げてくれたのが、パトリックでした。国枝選手が言うなら、もう間違いないですよね。それで取り上げたいと思いました」

シーズン3で唯一の日本人選手、水泳・木村敬一の愛すべきキャラクター

ロンドン、リオパラリンピックのメダリストで、世界選手権では3度頂点に立った水泳の木村敬一。自由形に平泳ぎ、バタフライ、メドレーをこなすオールラウンダーで、東京パラリンピックでは複数種目で悲願の金メダル獲得を狙う日本のエースだ。出演の打診に行った際、こんなやりとりがあったそうで……。

「最初、挨拶に行ったら、『WHO I AMは知ってますけど、これって金メダリストしか出ちゃいけないやつですよね』って。『そんなことないですよ! 木村選手は世界選手権取ってらっしゃるし!』って言うと、『光栄ですけど、周りはパラの金メダリストばっかりですよねぇ?』って。気にするタイプみたいです(笑)。受け答えが面白くて、素敵なキャラクターです」

取材を通して気づいたこと、そして伝えたいこと

「車いすの選手と挨拶をする時、しゃがんだほうがいいのかな?」「全盲の人と名刺交換する時、点字がなければその人にとってはただの紙になってしまう?」。取材を始めた当初、障がいがある人と接する時に、つい「考える」ことをしていた、と太田氏。取材を通して、自身にとってもさまざまな学びがあったと、振り返る。

「シーズン1に登場した先天性四肢奇形の水泳のダニエル・ディアス選手と握手をしようとした時、彼は慣れているので肘をグイッと出してきました。それで最初、僕はつい、ソーリーって言ってしまったんです。別にダニエルには『よぉ、ダニエル!』って肘で握手すればいいし、全盲の人には『読めないけど太田です』って名刺を渡せばいい。車いすの人に立ったまましゃべろうが、座ろうが、いまやどっちでもいいと思うんです。どうしよう、って考える一瞬の間が、変な空気を生んでしまう。“障がい”というのは、こっち側の意識にあるんだということに気づいたし、番組を通して社会の価値観を壊したいと思っています」

取材では、番組制作のきっかけやタイトルに込めた思い、今後の展望などをお聞きしました。それをまとめた記事は、ぜひこちらからご覧ください。

学研教育みらい『体育・保健体育ジャーナル第2号』「with Sports」