Yahoo!ニュース

女性限定の創業補助新設…そもそも創業に補助は必要か?

秋元祥治やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

さてさて、空前の(?)創業支援に予算を投下する安倍内閣ですが、ななんと、女性向けに増額される創業補助金がドドーンと創設される見込みの様です。

女性限定の補助金検討 政府、起業支援で上乗せ

政府は社会での女性の活躍を推進するため、対象を女性に絞った補助金を2015年度に創設する方針だ。女性限定の補助金は憲法の「法の下の平等」の原則に反すると解釈してきたが、少子高齢化の進展を背景に、女性の活力を高める措置として必要と判断した。

5日に開く政府の男女共同参画推進本部で決める指針に盛り込み、安倍晋三首相が閣僚懇談会で各省庁に具体策を検討するよう指示する。各省庁は15年度予算の概算要求に反映する見通しだ。

既存のベンチャー企業支援の補助金制度で、申請者が女性の場合に補助金額の上乗せを想定。農業や医療、介護分野で女性が経営する企業の事業拡大などを支援する新たな制度も検討している。

出典:日本経済新聞(8月3日)

要は、これ創業補助金のことですよねー。次年度にむけての予算要求で「女性枠」みたいなモノが新設されるということでしょうね。中小企業基盤整備機構が行っている「創業補助金」ってのは、創業する人(最近した人)を対象に、かかる経費の2/3、最大200万円まで支給されると言うもの。当初は70%を超える採択率だったものの、制度の認知が広がるにあたって応募が殺到。それでも、20%程度の確度で採択されるという、知っている人は得をする補助制度。

率直にいってぼくはこの助成制度には、懐疑的です。だって、

1)この補助金が無いときに創業したした人には不公平だもの

2)そもそもビジネスするのにお金もらえるっておかしいじゃん

3)でもって、これで創業者って増えるんですかね?

4)だいたい、事業の上手くいく・いかない、なんて審査できるの?

って思うから。

もともと創業する予定だったひとは申請するでしょ、タダでもらえるから。

で、2、3年後に予定していた人がもらえるのなら、と創業を早めるのもあるかも。

もらえるなら、と初期投資を積極的にできる事もあるのかも…だけれど。

ただ、これによって新たな創業者が発掘されるかと言えば、容易じゃないでしょうね。

だって、補助金をインセンティブに創業する、っておかしいでしょw

一方で、こうしてニュースになることも含めて啓発だと捉える事も出来るし、こうして政府が創業支援に本腰を入れる事もこれまであまり無かった訳で、そういう意味では有意義かもしれない。

ただ、この助成制度の是非はさておいて、どうせあるならやはり上手く活かしていくより無いと思いますし、そこで女性の後押しを行っていくのであれば、現場レベルでは有意義に活用するべきでしょうね。

ただ、ぜひご検討されたら良いと思うのは、女性が起業したときの「産休・育休」の問題。被雇用者じゃないから、手当が出ない訳ですよ、そりゃ雇用保険払ってないので。ただ、これは地味に大きいと思いますけれど。例えば,一人で開業しておこなっているネイルサロンやネットショップの方々とか。(実際に、OKa-Bizで創業相談しているとそういう方多いですよ、わりと)

そして、そもそも公的産業支援機関に開業相談にいった女性にたいして「事業は女・子どもの遊びじゃない」といってぞんざいに扱う(と言われた事がある、という相談者にも出会いました)、そんな相談窓口の改善がなによりの第一歩なきがしますけれど。

いずれにせよ、この助成制度が、意識啓発につながる事を期待したいと思います。

秋元祥治・公式ブログ http://akimotoshoji.blog.jp より

やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

01年より、人材をテーマにした地域活性に取り組むG-netを創業し03年法人化。現在理事。13年オカビズセンター長に就任。開設9年で約3300社・2万2千件超の来訪相談が押し寄せ、相談は1ヶ月待ちに。お金をかけずに売上がアップすると評判で「行列のできる中小企業相談所」と呼ばれている。2022年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任。内閣府・女性のチャレンジ支援賞、ものづくり日本大賞優秀賞、ニッポン新事業創出大賞・支援部門特別賞ほか。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も。著作「20代に伝えたい50のこと」、KBS京都「KyobizX」・ZIP-FM「ハイモニ」コーナーレギュラーも。

秋元祥治の最近の記事