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知的障がい者の発言をひらがな表記する新聞は許されるのか。

秋元祥治やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

産経新聞の事件記事を見て、率直におかしいと思ったこと。

この事件の是非はさておいて、なぜ知的障がいがあるという理由で、発言をひらがなにするのか。悪意がある、ともとれるし、偏見を助長すらしうるのではないか?

「おれ、めんきょとってくるまかう」

平成25年7月26日、京都地裁。裁判官から「最後に何か言いたいことは」と促されると、男(36)は体を震わせて叫んだ。直前に「くるまやさん、ごめんなさい」と述べた謝罪の言葉よりも大きな声だった。

当時、男は自動車販売会社の展示場で軽乗用車を盗んだとして逮捕、起訴されていた。罪名は常習累犯窃盗罪。10年間で3回以上、窃盗罪などで懲役刑を受け、さらに同じ犯罪を繰り返すと適用される。

だが、8月30日に言い渡された判決は無罪(求刑懲役3年)だった。自動車盗が「悪いこと」だと表面上は分かっているが、「社会から許されない違法行為とは真に理解しておらず、自制できなかった」と判断されたのだ。

知的障害だけを理由に、刑罰を科さない「心神喪失」を認めた異例の判決。刑罰を軽くする「心神耗弱」が妥当とみる検察側は、控訴している。

出典:産経新聞 4月15日

実際の新聞記者たちはどう感じたのか、ヒアリングを行ったところ・・・

こうして平仮名にするのは普通のことじゃない、書かないね。

よほど意図がなければ平仮名にはしない。

(地方新聞社・記者)

こんなのありえない!よくこんな記事がデスク通ったなと思う。個人的には怒りを覚える。

ひらがなにしたほうが、臨場感がでると思ったのではと思うが、悪意があると思う。

これを書いた記者もそうだけど、これ通したデスクも感覚ずれてるよ、産経さん。。。

(全国紙・記者)

といった答えが帰ってくる一方で、元全国紙記者で広報コンサルタントの新田哲史氏は

あまり、前例がないから何ともいえない。

ただ、言葉がたどたどしい感じを出そうとしたんだろうと思う。仮に僕が書く側になったら、漢字は使うにしても、ひらがなを増やすなり、なにかたどたどしい語感を復元しようと考えるかもしれない。やはり健常者と違うところを強調するなら、再現性が問われるので。

といった見方も示した。

ただ、やはり重ねて言いたい

平仮名表記はなぜするのか。

知的障がいへの偏見を助長するだけではないのか?

「福祉と刑務所の間の問題」という問題提起はなるほどと思うところもある。

この事件を起こした彼そのものの行為や記事内容についての是非はともかく、

でも、この平仮名表記は、バカにしているのか?というのが率直な感想だ。

おかしくないだろうか。

秋元祥治・公式ブログ http://akimotoshoji.blog.jp より

やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

01年より、人材をテーマにした地域活性に取り組むG-netを創業し03年法人化。現在理事。13年オカビズセンター長に就任。開設9年で約3300社・2万2千件超の来訪相談が押し寄せ、相談は1ヶ月待ちに。お金をかけずに売上がアップすると評判で「行列のできる中小企業相談所」と呼ばれている。2022年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任。内閣府・女性のチャレンジ支援賞、ものづくり日本大賞優秀賞、ニッポン新事業創出大賞・支援部門特別賞ほか。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も。著作「20代に伝えたい50のこと」、KBS京都「KyobizX」・ZIP-FM「ハイモニ」コーナーレギュラーも。

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