カナダ人が日本の焼き餃子を「大絶賛」している、意外すぎる理由
なぜ日本の餃子は特別なのか
このように、圧倒的な人気を誇る餃子。しかし筆者の中では、「餃子=ラーメンのサイドメニュー」といった認識だったので、単体でのあまりの人気ぶりに驚いた。 また、「薄く伸ばした小麦粉生地で肉や野菜を包んで火を通す」という餃子系料理は日本以外にもある。かつてシルクロード交易を通じてアジアから西へと広まった料理であるため、ユーラシア大陸に位置する多くの国に似たような料理があるのだ。 中国の水餃子や台湾名物の小籠包、中央アジアの蒸し餃子・マンティに、東欧の水餃子であるペリメニやピエロギ...など枚挙に暇がない。何を隠そう、筆者が現在滞在しているジョージアにも「ヒンカリ」という水餃子の一種が存在しているくらいだ。 なので、どうして日本の餃子だけがこれほどまでに外国人の心を掴むのか不思議だった。「日本の餃子の何がそんなに好きなの?」と、実際にシェアハウスの住人に尋ねてみたことがある。その答えは「まずは焼いた皮の独特の食感が素晴らしい。それから、中の具材の旨味と肉のジューシーさ。しっかりと味がついているのも、ピリ辛のタレも…とにかく全てが最高のハーモニーなの!」と、もうべた褒めだった。
「焼き餃子」は日本以外では見られない…!?
私たち日本人にとって、餃子と言えば焼き餃子だ。油で焼き目をつけてから少量の水を入れて蒸す調理法で、どこの家庭でもしばしば食卓に登場する定番料理としてのポジションを確立している。 しかし、実は餃子を焼いて食べる調理法は、日本以外ではポピュラーではないのだ。先に挙げた各国の餃子系料理はほぼ全て、お湯で茹でるか蒸気で蒸して調理される。「餃子を油で焼く」という概念自体が、外国人にとっては真新しく映るのかもしれない。 そして、中に詰まった挽き肉と香味野菜のバランスも素晴らしい。日本の餃子と言えば豚ひき肉を使用するのが普通であるが、実はアジア圏以外の国の餃子系料理においては豚ひき肉だけが使用されることはあまりない。牛豚の合挽きだったり、牛肉100%だったり、中には羊肉を用いる地域もある。 もちろん合挽き肉の餃子も美味しいのだが、豚肉100%だからこその旨味の強さと脂のジューシーさには敵わない。一口食べると口内に広がる豚の旨味と溢れ出る肉汁、そこにニンニクやニラなどの香味野菜の風味が絶妙に絡み合う...そんな「食べる芸術作品」のような完璧なハーモニーに外国人は感動し、夢中になるのだ。 後編【「カナダでは絶対に出会えない…!」外国人観光客が日本の「コンビニの肉まん」に感動したワケ】では、さらに「外国人人気が圧倒的に高い日本食」を紹介します。
小山 のぶよ(翻訳家・ライター)