全世界19ヵ国、同時発売!プーチンの悪業を暴き、殺害された活動家アレクセイ・ナワリヌイが命がけで書いた告発手記
プーチン専制政治の罪と嘘を暴き、死の直前まで自由を叫び続けた男、アレクセイ・ナワリヌイ。2024年2月に死亡した彼が獄中で綴った貴重な「勇気と自由の書」が10月22日、全世界で同時刊行される。 【画像】死刑囚が「アイマスク」をするヤバすぎる理由 政治とカネ問題、オリガルヒと呼ばれる超富裕層の富の独占、「腐った老いぼれ」に国を支配される屈辱と憤怒。2人の子の父であり、1976年生まれのナワリヌイは、ネットを駆使して事実を暴き、果敢に挑んでいく。 世界的な話題作であるばかりか、「わが国の腐敗」とも通じる、ミステリー小説よりもスリリングな渾身の実話。 まずは共訳者の斎藤栄一郎氏による『PATRIOT プーチンを追い詰めた男 最後の手記』刊行に寄せる記事をお届けする。
「この男はイカれてる。贅沢の亡者だ」
「この男はイカれてる。贅沢の亡者だ」 「この男」とは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のことである。そして、プーチンの常軌を逸した国家私物化の証拠を見つけて、冒頭の言葉を漏らしたのは、ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイだ。数々の政治腐敗を暴き、プーチンに闘いを挑み続け、毒殺未遂で死の淵を彷徨いながらも一命を取りとめて再び立ち上がり、不当逮捕と不当裁判を繰り返された末に、2024年2月に北極圏の刑務所で不自然な獄死を遂げたことは記憶に新しい。 ナワリヌイは、政治腐敗と闘う団体「反汚職基金」の仲間とともに、次々と不正を暴き、ネット上で告発してきた。その中でも特に大きな注目を浴びたのが、黒海沿岸にある“プーチンの宮殿”の調査報道だ。いくつもの証拠資料を積み重ね、贅を尽くした宮殿の実態を暴いただけでなく、国営ガス会社に購入させたマンションに次々に愛人を囲う手口も明らかにした。プーチンが国を食い物にする証拠を見つけ出すたびに、ナワリヌイらは冒頭の言葉を何度も口にしたという。 「この男はイカれてる。贅沢の亡者だ」
ナワリヌイ氏を突き動かした「闘志」
毒を盛られた事件や獄中死については、世界的なニュースになったので覚えている方も多いだろう。だが、なぜナワリヌイはここまでプーチンの不正を追及し、文字どおり命をかけて闘い続けたのか? そもそも彼はどんな人物なのか?どんな少年時代、青春時代を送り、社会人としてどのような日々を送り、何をきっかけに政治の世界に身を投じることになったのか? そして、毒殺未遂の意識不明状態から回復して、帰国してから亡くなるまでの3年以上に及ぶ獄中生活で何を考えていたのか? こうした疑問に答えるかのように、ナワリヌイ自身がしたためた回顧録が、2024年10月22日、日本を含め世界19ヵ国で同時発売される。すでに米『ニューヨークタイムズ』や英『ガーディアン』に始まり、アラビア語のニュース局、アルジャジーラに至るまで、世界各国のメディアが回顧録出版のニュースを伝えていることからも、ナワリヌイ本人が何を語ったのかを巡る、世界からの関心の高さがうかがえる。