全世界19ヵ国、同時発売!プーチンの悪業を暴き、殺害された活動家アレクセイ・ナワリヌイが命がけで書いた告発手記
祖国ロシアへの想いが綴られた記録
ナワリヌイは、毒殺未遂後にドイツの病院で治療・リハビリを受けていたころから執筆を開始したという。ロシア帰国後に逮捕され、2024年2月の獄中死に至るまで丹念に書き綴った原稿や獄中日記がこの1冊にまとめられている。 「この国が悪いのではない。この国を動かしている老いぼれが悪いのだ」 野党を経て、モスクワ市長選出馬を皮切りに政治への進出を試みるナワリヌイに対し、さまざまな圧力で妨害するプーチン政権。 腐敗した権力と闘い続けた日々、祖国ロシアに対する愛、裁判所でのやり取り、獄中の様子など、ときにユーモアやウィットも交えながら、ときに情熱的に、何も包み隠すことなく、思いのたけを語り尽くしている。
不屈の闘志で独裁政権に臨んだ男の「遺言」
あまり知られることのない、ロシアの矯正労働収容所の様子が活写されているのも本書の読みどころだ。 ボタンのとめ方が悪いだけ独房行き、肛門レイプや虐待も報告される「赤よりも赤い矯正労働収容所」に収監されたナワリヌイは、「私は残りの人生を監獄の中で過ごし、ここで死ぬ」と自らの最期を予期しているかのような言葉を残している。 妻、ユリアは、『ニューヨークタイムズ』のインタビューで、こう語る。 「この本はアレクセイが生きた証であるとともに、独裁者との闘いに不退転の決意で臨んだ証左でもある。彼の言葉を通して、私が心から愛した男、とことんブレない姿勢と不屈の闘志を最後まで持ち続けた男の真の姿を知ってもらえるだろう」 字幕:星 薫子 最後の最後まで祖国を憂い、「詐欺師や盗人ども」から祖国を取り戻すために希望を捨てることなく行動を続け、命をなげうったナワリヌイ。 この回顧録は、そんな男が3年をかけて綴った祖国ロシアへの愛であり、その祖国を骨の髄までしゃぶり尽くしてきた巨悪に対する告発状であり、愛する家族と世界のすべての人々に宛てた「遺言」である。 後編記事『プーチンを追い詰め、暗殺された活動家アレクセイ・ナワリヌイが命がけで書いた告発手記』へ続く
斎藤 栄一郎(翻訳家・ジャーナリスト)