アリババが45億ドル転換社債の条件決定、アジア企業で過去最大
(ブルームバーグ): 中国の電子商取引最大手、アリババグループは、45億ドル(約7070億円)相当の転換社債の条件を決定した。アジア企業によるドル建ての転換社債では過去最大となる。自社株買いや、人工知能(AI)を含む事業への投資に必要な資金を確保する。
期間7年、2031年償還の転換社債のクーポンは0.5%に設定された。転換プレミアムは30%。事情に詳しい関係者1人によれば、世界の投資家からの需要で募集枠の数倍の応募があった。情報が公になっていないことを理由に匿名を条件に語った。
資金調達コストの低さや自社株価の急上昇の機会を捉えた動きだとアナリストらは指摘した。アリババは中核事業である電子商取引とクラウドの分野に投資する資金を必要としている。いずれの事業も中国当局による取り締まりとその後の社内の混乱でシェアが低下している。
発表資料によると、調達資金の一部は、条件決定時に1480万の米国預託証券(ADR)買い戻しに充てられ、将来の自社株買いにも充当される。
大和キャピタル・マーケッツ香港のアナリスト、ジョン・チョイ氏は「0.5%という好条件によってオフショアで資金調達する機会を生かす動きだ」と指摘。「こうすることで直ちに自社株買いを実行に移すことができる。希薄化よりも自社株買いの方が大きいため、株主にとってよりメリットが大きいと同社は主張できる」と述べた。
ブルームバーグのデータによれば、アジア企業によるドル建て転換社債の起債では過去最大規模となる。シンガポールのシーが2021年9月に起債した5年債の規模(29億ドル)を上回る。
アリババと競合するJDドットコム(京東)も今週、総額20億ドルの期間5年の転換社債を発行している。
アリババは、現金の還元と、既存の事業およびAIを含む新事業への投資のバランスを取ろうとしていると、蔡崇信会長と呉泳銘最高経営責任者(CEO)は23日の株主への書簡で説明した。同社は、クラウドとAIサービスの価格引き下げを主導しており、世界的に投資活動が活発なAIに一段と注力し始めている。