『西園寺さん』『わたしの宝物』『はたらく細胞』 “松本若菜イヤー”となった2024年
苦しい展開が続く『わたしの宝物』(フジテレビ系)では、俳優たちがそれぞれの方法で複雑な感情を表現している。その中でも、やはり主演を務めている松本若菜の力は大きいものだ。2024年はまさに“松本若菜イヤー”と言えるほど、今まで以上に大きな活躍を見せてくれた。 【写真】田中圭に冷ややかな視線を送る松本若菜 皮切りとなった『正直不動産スペシャル』(NHK総合)で、光友信用保証に勤める愛原を演じた松本。嘘をつけない永瀬(山下智久)とクリスマスディナーに出かけるが、正直すぎる永瀬の発言に険悪ムードとなり、そのまま別れ、のちに仕事の関係で再会する。ディナー時には女性らしさがあった一方、職場では“鬼軍曹”と言われるやり手であるという二面性も見せてくれ、短い出演時間ながらも強い存在感を放っていた。 4月に放送されたスペシャル番組『アリバイ崩し承りますスペシャル』(テレビ朝日系)では、警察内を映す密着ドキュメンタリー番組のプロデューサーとして登場。細かい仕草がまさにイメージするテレビマンそのもので、ミステリー要素の強い物語の中に明るさをプラスしてくれるような存在だった。 また、『君が心をくれたから』(フジテレビ系)での姿も記憶に新しいだろう。花火師を目指す太陽(山田裕貴)の亡くなった母親役を演じ、あの世からの“案内人”として息子と、息子にとってかけがえのない存在である雨(永野芽郁)を見守った。ファンタジー要素が強く想像の難しい役柄だが、母親らしい温もりと気遣いが随所に現れており、徐々に五感を失っていく雨を中心とするストーリーの中で、彼女の存在が雨と視聴者を照らしてくれた。 こう振り返ってみると、松本は温かな陽の光のようなキャラクターがよく似合う俳優だと言える。『わたしの宝物』のインタビューでは、現場で田中と深澤に対して「ツッコミを入れる学級委員長みたいな立ち位置で、一緒に遊んでいます」と話し(※1)、共演している田中圭も「普段の若菜さんは明るいので、カメラが回っていないところでは、お互い沈まないでいられるというのはすごく救われているなと思います」(※2)と話しているように、松本自身も明るく、誰もが頼りたくなるような存在なのだろう。