日銀・黒田総裁会見3月15日(全文1)景気は緩やかに拡大
消費税上昇の影響を除いた方を参考値にした理由は?
朝日新聞:朝日新聞の【サイトウ 00:09:52】です、お世話になります。2%目標に絡んで2点お聞きします、順次。1点目が、先般1月に展望レポートを示したときに、物価上昇見通しについて、今までメインで使っていたのは消費税上昇の影響を除いたほうだったと思うんですけど、今回からそれが参考値として扱われましたね。先般、総裁、国会でもあまりいろんな要因はできる限り除いたほうがいいんだというような発言がありましたが、この点についてあらためて説明してください。 黒田:従来から日本銀行はこの物価の見通しを示すに当たりましては、物価の基調が分かりやすく説明されるということが重要だというふうに考えておりまして、この点、先行き、一時的とみられるような価格変動要因が複数見込まれておりまして、物価の基調を的確に捉えることは難しくなってきているわけであります。 特に本年10月には消費税率引き上げと教育無償化政策が要はセットで導入するということが予定されておりますし、また一部の事業者が表明しております携帯電話通話料の大幅な引き下げというものが新年度入り後の物価に影響を与える可能性も指摘されているところであります。こうした要因が一時的かつ大きい場合には、その影響を展望レポートの物価見通しなどから除外するということは、ある意味で物価の基調を分かりやすく説明することにつながる可能性があるわけであります。 ただ、この1月の展望レポートで示しましたとおり、今回の税率引き上げと教育無償化は、これを合わせて1つの政策対応として捉えますと、物価への影響は比較的軽微にとどまるということが予想されます。また見通し係数からこうしたさまざまな制度変更とか、あるいは携帯電話通信料引き下げなどの影響を次々に除外していきますと、係数の客観性が損なわれることになりかねないということで、かえってその意味が分かりにくくなってしまう可能性もあるということ、両方の面があるということでありまして、こうした論点、あるいは物価を巡る今後の状況を踏まえますと、日本銀行としては基本的に今申し上げたような一時的な要因を除外しない物価見通しを中心に説明し、その上で必要に応じてそうした要因が物価に与える影響についても指摘していくことが適当ではないかというふうに考えております。