食材を無駄にせず“自然との共存”を目指す、北海道「味道広路」の料理に込めた思いとは
夫婦での商売も初めてだったので、いろいろ面倒なこともありますが、面倒を面倒と思わず、楽しさに繋げる意識を持てば決して全てが面倒なことにはならないと思いました。
「食材」について日頃お考えのことをお聞かせください
今までお店で働いていた時には、野菜は八百屋さんが持ってきて、魚は魚屋さんが持ってきて、食材自体を取りに行くということはほとんどありませんでした。あちこちから食材を取り寄せるのが可能な時代ですが、わざわざここに来ていただくためには、どうすべきかと考えた時に、ここに来ていただくためのものを作らなくてはならないと思いました。アワビやウニなどの高級食材ではなく、ここだけでしかできないもの、この土地に合ったものを提供しようと決めました。
じゃがいもを煮ただけの料理がコースに出てもまったくおかしくない、身近な食材をそんな洗練された一品に仕上げる。そういうものが、より人の感動を呼び起こせるのではないか、そんな思いで日々料理をしています。
お店で大切にしていることをお聞かせください
お客様の組数も少ないので、できる限りのことをしたいという思いがあります。年齢を重ねると多くは食べられなくなる場合もあるので、食べ手の様子を見ながら、その人その人に合わせた量に変えていく。命のあるものを当たり前に残してしまうことがないよう、できる限り綺麗に食べていただけるような配慮しています。お客様が全部食べて程よく収まり、スッと消えてなくなるのが一番良いと思って料理を作っています。
「持続可能な食の在り方」についてお考えをお聞かせください
太陽があり、水があり、風、土、大地があるから作物が育っていく。それを私たちが摂取して命を繋げています。その日々の感謝を思い起こすためにも、自然との触れ合いを続けるのだと思います。例えば面の悪い大根があれば、その皮を捨てるのはもったいないので、皮は飴炊きにし、元の面が関係なくなるような見栄えのものにし料理として成立させる。自然と素材を大事にしなければならないと考えています。
あなたにとって「料理」とは
「ご馳走」です。非日常であり、日常ですが、外食ということで考えれば「ご馳走」。「馳走」とは、馳せ参じて、あちこちに走って食材を集め、その人のために思いを馳せて作ること。料理は、それによって心と身体が豊かになる、生きるために大事なものだと思います。
味道広路
住所 : 北海道夕張郡栗山町湯地40-35 TEL : 0123-73-6677 ※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額等を掲載しております。 営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
文:佐藤明日香