【雪山登山の注意点】始める前に知っておきたい基礎知識
【雪山登山の注意点】始める前に知っておきたい基礎知識
イメージは先行するけれど、実際に行ったことのない雪山登山。 どんなことが起きるのか、幅広く基礎知識を知っておきたい。 読者のみなさんが抱く、よくある質問を先生にぶつけてみました。 編集◉PEAKS編集部 文◉福瀧智子 イラスト◉高橋未来。
Q1.雪山とひとくくりにしても、千差万別ですよね?日本の山ではどのような違いがありますか?
A。雪山とひとくくりにしても、降り始めから雪解けまでは約6カ月間と期間が長く、山のようすはさまざま。大きくは「新雪期」「厳冬期」「残雪期」と3つに分けることができ、登山の難易度も異なります。
本州の主な登山エリア 積雪期と気温の目安
■1。新雪期 雪が降ったり解けたりを繰り返しながら、徐々に根雪(雪解けの時期まで残る雪)がつき、少しずつ積雪量が増えていく時期。まだ藪が出ている箇所も多く、稜線では雪が風に飛ばされ岩などが露出していることも。雨か雪かの判断がつきづらいのもこの時期の特徴のひとつ(写真は11月末の赤岳)。 ■2。厳冬期 冬型の気圧配置の日が多く、積雪量が一気に増える時期。雪質は乾燥した粉雪が中心で、降雪直後などはラッセルが必要に。風の強い日が多く、また森林限界以上ではホワイトアウトも起きやすい。積雪量や地形、天候によって雪崩の発生もあり、初心者には厳しい環境(写真は1月の越中駒か岳)。 ■3。残雪期 積雪量は3月をピークに、徐々に減っていく時期。まれに大雪になることもあるが、みぞれや雨が降ることが多い。雪面はよく締まり歩きやすいが、日中と朝晩の寒暖差が激しいため早朝はアイスバーンやクラスト、日中は緩んでザラメ雪に。晴れる日が多く、熱中症や日焼けにも注意が必要(写真は4月末の燕岳)。
Q2.雪山に遊びに出かける計画を立てるなかで知っておくべき天気図の例はありますか?
A。天気図には季節によって現れやすい型(パターン)があります。降雪に関係する特徴的な天気図を覚えておくと、大量に雪が降りそうか、山が荒れるか……といった見当をつけることができます。太平洋側の山は冬場でもほとんど雪は降りません。 代表的な冬型の気圧配置といえば「西高東低型」。大陸からの冷たい空気が日本列島へ張り出し、西が高気圧、東が低気圧となる気圧配置のこと。日本海には筋状の雲が現れ、日本海側の地域に雪を降らせる一方で、太平洋側は晴れる傾向。「南岸低気圧」は冬後半から春先にかけて日本列島の南を通過する低気圧。低気圧が引き込む「寒気」によって関東甲信地方が雪になることがあり、降雪後は雪崩が発生しやすくなる(画像引用:気象庁「日々の天気図」)。