ヒマラヤと血を分けたタフなロードスター ロイヤルエンフィールド「ゲリラ450」試乗インプレッション
他の400ccクラスにない安定感の高さと余裕
試乗日は真夏。出発する頃には渋滞が始まっていた。ゲリラ450をゆっくりスタートさせると、各操作系は過度なタッチがなく好印象。サスペンションはコシがあり、車体剛性は高め。市街地でも国産車のこのクラスにはない応答性の良さがあり、少し大柄な車体は安定感に寄与。だからといって重さはない。 出力モードは「エコ」を選択。市街地では扱いやすさだけでなく十分な速さも披露。回転を上げなくてもスピードを乗せていく。そのフィーリングは、空冷時代から続くロイヤルエンフィールドらしい気持ち良さと、水冷ならではのレスポンスがバランスよく混ざった感じだ。 峠では出力モードを「パフォーマンス」に変更。すると3000rpm辺りに元気さが加わり、スポーティに。ただし予想以上にレスポンスするため、何となくスロットルを開けると驚く方もいると思う。 ハンドリングは穏やかだ。例えば390デュークと比較するとホイールベースは83mmも長いのだが、それが扱いやすさに貢献。また、シート高の低さはバイクの重心であるエンジンの近くに座っている感覚が強く、コーナリングのすべてでバイクとの一体感を得やすい。ライダーを急かさないし、難しさを感じさせにくい絶妙なバランスがある。 もちろんゲリラ450はスポーティな走りも大得意。車体サイズの割にポジションはコンパクトで、シートも自由度が高いからライダーが荷重バランスを変えやすい。フレームやサスペンションは、ライダーの積極的な操作を瞬時に理解してくれ、高荷重時もニュートラルという表現が相応しいハンドリングを見せる。タイヤは深いバンクも許容。立ち上がりでトラクションをかけた時の挙動は、スポーツバイクそのものだ。 確かにゲリラ450には、大型免許という壁がある。大型を取得したら大排気量に乗りたい気持ちもわかる。しかし、排気量ヒエラルキーから離れた方が幸せなバイクライフを送れる可能性もある。走り込むほどに、ゲリラ450なら頻繁にバイクに乗りたい気持ちにさせてくれるだろうし、走り出せば楽しいし、だからこそ上手くなるのも早いのでは? と思う。また、ベテランのダウンサイジングにもフィットするだろう。ゲリラ450だけの高バランス が、色々なことを考えさせてくれる。 誰もが「ピュアモーターサイクリング」を感じられる1台。それがゲリラ450だ。 ──ゲリラ450は景色を見ながらクルージングすることもできるし、連続するカーブに没頭することもできる。ライバルの外車400ccのような鋭さはないものの、「ピュアモーターサイクリング」や「ピュアライド」を常に味わえるのだ。