過干渉な親に育てられると「話を聞けない子」になってしまう理由
保育士の経験を活かし、子育てアドバイザーをしている須賀義一さん。「話を聞ける子」を育てるためには、まず、「聞いてもらって楽しかった経験」が大切だと言います。 【マンガ】「集中力が高い子ほど、乳幼児期に体験している「フロー状態」とは? ※本稿は『PHPのびのび子育て』2020年7月号から一部抜粋・編集したものです。
「話を聞ける」の先にある大切なもの
子どもたちを見ていると、その姿には2種類あるようです。自分から「しよう」「やりたい」と思ってする、「自発的な姿」。そして、誰かに「そうしなさい」と繰り返し言われたり、やらないと怒られたり否定されたりしてしまうので、「しかたなくやる姿」。 「○○できたら、えらいな」「○○しないと、○○してあげないよ」こうした言葉がけによって子どもが動くのは、大人からすると「私の関わりによって、子どもが自分からやっている」ように見えるかもしれませんが、結局のところ「やらされている」のは変わらないので、後者の「しかたなくやる姿」になります。 日々の子育ての中では、大人がなんとかしてやらせなければならない場面もあるかもしれませんが、最終的にどちらを目指していけばいいかと言えば、もちろん、子どもが自分から進んでそういった姿を自発的に見せる、前者のほうだと思います。 この自発的な姿を見せてくれる子を育てるためにとても大切なのが、「楽しい」という経験です。子どもは、「楽しい」を糧かてにして伸びていくからです。
「楽しい」ことが重要
「話を聞ける子」を育てるためにも、やはり「楽しい」ことは重要です。話を聞いて楽しかった経験、自分の話を聞いてもらって楽しかった経験。この2つの経験を増やすことで、話を聞く力は伸びていきます。 この2つはどちらも大切なのですが、どちらがより重要かと言えば、おそらく「自分の話を聞いてもらって楽しかった経験」のほうになるでしょう。 子どもはまず先に「してもらった心地よいこと」を「いいもの」として学習し、その結果、それを他の人にほどこせるようになるからです。 たとえば、たくさんやさしくされた経験があることで、他者にやさしくすることができるようになります。誰かに自分の話を聞いてもらうと、「自分は肯定された」という気持ちになりますね。 子どももそれは同じですが、子どもは言葉によるコミュニケーション能力は発達途中ですので、「誰かに話を聞いてもらう」の前に、自分の行為や表現を「あら、それ素敵だね」「ああ、おもしろいの作ったね」などと認めてもらうプロセスが必要になります。 もちろん、そのもっと基礎にあるのは、遊びを通してのスキンシップや、「あたたかく見守られる」という経験です。