過干渉な親に育てられると「話を聞けない子」になってしまう理由
返答には「ああ、そうなんだ~」
子どもが何かを訴えてきたら、「ああ、そうなんだ~」と淡々と受けとめます。その言葉の内容が大人から見ておかしいと思っても、「ああ、そうなんだ。あなたはそう思ったのね」とフラットに受けとめます。 大人の介入はこれだけで十分。そうしたら、「じゃあ、私はあっちで見守っておくから、あとはがんばってね~」くらいの気持ちで、フェードアウトしてしまいます。その後の解決は子ども自身に模索してもらえばよいのです。 大人の価値観で「物事の善悪」を押しつけるのは簡単なのですが、それでは子どもはなかなか自発的にはなりません。もし、その後、子どもたちで解決したり、取ってしまった側が相手に返せたり、何かを工夫して一緒に遊べるようにできたら、そうした行動を認めていきます。 子どものとったその行動が、大人から見てベストではなかったとしても、「うんうん、なるほど。そう考えたのね」くらいの気持ちで、うなずいてみるといった感じです。子どもの正解の姿を大人が作り出すのではなく、子どもの自発性を伸ばすのです。
「話を聞ける」の先にあるもの
トラブルではなく、ポジティブな場面でも、「どうしたの~?」は応用できます。たとえば子どもが何かを作ったり表現したりしたとき。お絵かきでも積み木でも、砂場遊びでも何でもいいでしょう。 「どうしたの~? 何を作ったの~?」こんな感じで聞いて、その答えを、「ああ、そうなんだ~」と受けとめていきます。 このプロセスが、他者との会話を楽しむ経験となり、それがさらには、他者との信頼関係を大きくすることにつながり、まわりまわって、「話を聞く」という子どもの成長の姿として現われてくることでしょう。 そして、それは単に「話を聞ける」ということだけでなく、その子自身が何かを表現することの楽しさ、自分を表現することへの自信、物事に取り組む意欲、自己肯定感、自尊感情といった、心の基礎的な成長につながっていきます。 試しに「どうしたの~?」と言ってみてください。きっと、いつもとは違ったお子さんの姿が見られると思いますよ。
須賀義一(子育てアドバイザー)