過干渉な親に育てられると「話を聞けない子」になってしまう理由
「サンドイッチ」で信頼感を育む
ここで、保育士時代にやっていた「サンドイッチ」という遊びをご紹介しましょう。 やり方は本当に簡単。「サンドイッチしちゃうぞ~」と楽しく言いながら、子どもを誰か2人ではさんでギューッとするだけ。 子どもはスキンシップのある遊びを楽しく感じます(中には接触を好まない子もいますので、無理に行なう必要はありません)。こうした「人と関わる楽しい経験」を重ねると、子どもは人を「いいもの」と感じて他者への信頼感が育っていくようです。 実は、話を聞くことの一番根っこにあるのが、こうした「人への信頼感」です。ちなみに、この「サンドイッチ」、保育の中では「ハムになりたい人~? トマトにな人~?」と、子どもをどんどん増やしていって、最終的には「おしくらまんじゅう」状態にして楽しんでいました。
日本の子育ては過干渉 実際に子育てをしている人の立場からすると、「そうは言っても、子どもに注意したり、制止したりすることで精一杯。自発的に行動してくれるようになるまで、余裕をもって見守っていられない」という人もいるかと思います。 その原因は、従来の日本の子育てが、子育てをしている人にそうした過干渉ー特に、「○○してはいけない」などの「否定的な過干渉」を求めるものだったからです。「正しい子どもを作るために、否定の過干渉をがんばる」。 これが、多くの方の子育ての実情と言っても過言ではないでしょう。でも本当は、肯定の積み重ねで子どもの成長を援助していくほうが、子育てはラクになっていきます。
言葉がけは「どうしたの?」だけ
実は、注意や制止など否定的な過干渉が多いことが、「話を聞けない子」を作ることにも一役買ってしまっています。それは、子どもが「大人からの語りかけは心地よくないもの」と学習してしまうからです。 そこで、否定的な過干渉を減らし、同時に子どもが人との会話を楽しいと思えるようになる魔法の言葉をお伝えしましょう。 それは、「どうしたの?」という問いかけです。「どうしたの?」には否定的なニュアンスがありません。なおかつ「あなたの気持ちを受けとめますよ」という大人側の姿勢が、この言葉には含まれています。 たとえば、友だち同士やきょうだいで、おもちゃの取り合いをしているようなとき。「ダメでしょ。○○ちゃんが使っていたのだから、あなたが返しなさい」このような言葉がけをすると、子どもは否定されている気持ちになります。 そして、否定されるのが習慣になると、ネガティブな行動をとらずにはいられなくなります。さらには、「他の子とトラブルになったときには大人の介入がなければ解決できない」と学習してしまいますので、大人への依存が強まり、自立心が失われていきます。 このようなケースでは、もし大人の介入が必要だと思ったら、「どうしたの~?」と入ってみます。「またウチの子が人のモノを取ってる。返させなければ」といったニュアンスではなく、あっけらかんと、「どうしたの~?」と言えるといいでしょう。