ユネスコ世界遺産「九寨溝」にとうとう鉄道が開通・中国
【東方新報】中国南西部・四川省(Sichuan)のアバ・チベット族チャン族自治州(Ngawa Tibetan and Qiang Autonomous Prefecture)の自然保護区で、色鮮やかな大小多くの湖沼で有名な「九塞溝(Jiuzhaigou)」の鉄道区間が、30日にいよいよ開通した。 新しい鉄道区間の開通で、これまで6時間以上かかっていた省都・成都市(Chengdu)から「九寨溝」までの所要時間は、わずか1時間39分に短縮された。 新たに開通した鉄道区間は「鎮江峠(Zhenjiang Pass)」から「黄勝峠(Huangsheng Pass)」まで、「四川チベット高原(Sichuan-Tibet Plateau)」の困難な地形を横断するのだ。 この69キロの区間は、「鎮江峠」の標高2503メートルから「黄勝峠」の標高3156メートルまで、標高差の激しい山岳地帯に建設された。21の橋と山脈を貫く大規模なトンネルなど、鉄道工事は非常に複雑で困難だったという。 新区間は、四川省の成都市と青海省(Qinghai)の西寧市(Xining)を結ぶ全長836キロの「川青鉄路(Sichuan-Qinghai Railway)」の一部である。 最高時速200キロで走るように設計された「川青鉄路」は、さまざまな都市と高地を結ぶことになるが、全線の本格的な開通時期は、まだ明確になっていない。 「九塞溝」は、谷の中に9つのチベット族の村があることからその名が付いた。色鮮やかな湖沼、雄大な滝、豊かな文化遺産など、素晴らしい自然の美しさと独特の文化で、知られている。人里離れた場所と複雑な地形が、歴史的にアクセスを困難にしてきた。狭く曲がりくねった道と高い標高でさらに孤立化が進み、特に悪天候の際には移動が非常に困難になる。 「九塞溝まで2時間以内で行けるなんて、信じられないことです」、成都市に住む50代の旅行愛好家・ディンさんは驚いている。彼は20年以上前、「九塞溝」まで車で10時間以上かかり、何時間も座りっぱなしで足がむくんだ経験をまだ覚えている。2003年に空港が開港したので、移動は少し楽になったが、天候次第で乱れるのがフライトの難点だという。 中国の鉄道網は、世界で最も大規模で、最も広大な地域をカバーするものの一つだ。昨年末の時点で、延べ16万キロに及んでいる。その中には、延べ4万5000キロ以上をカバーする急速に拡大する高速鉄道網がある。これは世界で最も大規模な高速鉄道網だ。 中国の広大な鉄道網は、国内の移動に革命をもたらした。広い範囲をカバーする高速鉄道網と近代的なインフラにより、この中国の鉄道は長距離旅行を一変させた。より速く、より信頼性が高く、より快適な旅を実現した。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。