小糸・ボッシュ・フタバ産業…自動車部品メーカー、新領域展開へあの手・この手
医療や農業用 事業化に弾み
自動車部品各社が新しい事業領域の展開に意欲を示している。既存技術を生かし、スタートアップなどが持つ知見と融合することで新しい価値を創出する。幕張メッセ(千葉市美浜区)で18日まで開催されたビジネスイベント「ジャパンモビリティショービズウィーク2024」では、部品各社が新製品開発や販路開拓に向けてアピールした。(特別取材班) 【写真】フタバ産業が開発中の除草ロボット 小糸製作所はオープンイノベーションによる技術開発を推進する。ハイビーム可変ヘッドランプ(ADB)は低コスト化と高性能化の2軸で開発を進め、幅広い価格帯の車に搭載可能となった。高性能センサー「LiDAR(ライダー)」は米セプトン(カリフォルニア州)と共同開発しており、データ圧縮技術を持つ企業などとの協業を目指す。 ボッシュ(横浜市都筑区)は自社の課題とスタートアップの技術が合致した場合に、通常の購買プロセスを介さず試験的に少額購入から始められる「オープンボッシュ」の仕組みを紹介。「技術がマッチングすればスタートアップのソリューションを迅速に横展開できる」(新規事業開発部)とする。 NOK子会社のエストー(大阪市生野区)は車載電池向けの樹脂ガスケットを手がける。精密な金型設計により「大量の樹脂部品を安定した品質で提供できる」(染田義弘営業部部長)強みを生かし、医療分野などへの展開や海外電池メーカーとの取引を目指す。 フタバ産業は農業向けに自律走行型の除草ロボットを開発中だ。雑草と生産物を画像認識で見分け、雑草のみレーザーを照射して枯死させる。自動車事業のレーザー加工から得た技術を応用した。2026年の発売を目指し25年に実証実験を開始する。担当者は「販売方法に知見のあるパートナーが見つかれば良い」と期待する。 アイシン化工(愛知県豊田市)は自動車部品向けの摩擦材を作る際の抄紙技術を活用し、新事業の創出を狙う。繊維や粒子を自由に組み合わせ、顧客の要望に合った製品設計が可能。包装資材や建築資材などの用途を模索するほか、材料供給面でも協業先を募る。 光精工(三重県桑名市)はフロンを用いず磁石で脱着できる制御ボックスクーラーを展示した。使用する熱制御製品「ペルチェモジュール」は自動車部品の組み付け技術を活用して製造。制御盤以外での利用拡大を図る。設備の温度などのセンシングデータを外部のパソコンに送信するセンサーノードの開発も進める。 出資を通じスタートアップとの連携を模索するのがTPRだ。車載用クロスリアリティー(XR)の技術開発を手がけるDUAL MOVE(デュアルムーブ、東京都千代田区)、車載コンテンツの基盤システム構築を進めるBashow(バショウ、同中央区)とインフォテインメント(情報・娯楽)分野で事業機会を狙う。TPRの塚本英貴執行役員は「当社だけでは経営資源も知見も限られる。当社が早期の事業化を支援できればいい」と連携に期待する。