利賀・百瀬川に「やまアユ」漁場 庄川漁連、利賀村漁協 来春放流
●26年度めどに漁業権取得 神通川支流・山田川上流の南砺市利賀村を流れる百瀬川で来年春、アユの新たな漁場づくりが始まる。菅沼ダム上流の延長約6キロの区間に体長10センチサイズの稚魚1万匹を放流し、成育具合を確かめた上で、2026年度をめどに漁業権を取得する。将来的には、自然豊かな環境で育った、希少価値の高い「やまアユ」としてブランド化を目指す。 【地図】アユ放流区域 百瀬川でのアユの漁場づくりは、庄川沿岸漁業協同組合連合会と利賀村漁業協同組合が共同で行う。百瀬川には、かつては多くのアユが生息していたが、1958(昭和33)年の菅沼ダムの完成以降は、姿が消えた。稚魚の成育がうまくいけば百瀬川に約70年ぶりにアユが復活することになる。 庄川漁連は2018年以降、富山県水産研究所の協力を得て、百瀬川と、庄川支流の利賀川上流部にそれぞれ試験的に稚魚を放流し、成育状況などを調べてきた。この調査によると、水が清らかで、餌となる藻類が多く育つ上流部で成育した場合、アユが大型で高脂質に成長することが分かった。 しかし利賀川では、2031年完成予定の利賀ダムの建設が計画されており、しばらくはアユの漁場に適さないと判断。百瀬川での漁場づくりを先行させることにした。 漁業権の取得をめぐっては、漁協からの申請などが有識者らによる管理委員会の承認を得られれば、県から漁協へ漁が許可される。百瀬川に設ける漁場は、菅沼ダムから上流の利賀国際キャンプ場あたりまでの区間を想定する。 県内では、庄川をはじめ、黒部川や神通川、井田川、小矢部川など多くの河川でアユの漁業権が設定されているが、いずれも中流、下流域となっており、ダム上流部にあるアユの漁場は全国的にも珍しい。「やまアユ」のブランド化に向け、庄川漁連の田子泰彦常務理事(66)は「全国の釣り好きが集う場にし、山間部の活性化につなげたい」と期待を寄せる。