日本や世界で受け継がれてきた藍染め【今に息づく 和の伝統】
刈り取りは夏休み前後の2回、それぞれ1番刈り、2番刈りと呼ぶ。「暑い時期の刈り取りは大変な作業ですが、6年前に工業高校と連携して刈り取り機を開発してからは、ずいぶん楽になりました」と岡本さん。昔の技法を守り続けながらも、それぞれの工程では工夫を凝らしているのだ。収穫した藍は細かく裁断して葉と茎に分ける「藍粉成し(あいこなし)」の後、すくも作りに用いる。
すくも作りは2年生が中心となり秋から冬にかけて行う。乾燥させた葉を土間に山積みにして適量の水をかけ、よく混ぜ合わせ、「寝せ込み(ねせこみ)」を始める。その後およそ3カ月にわたって、水を打って山を崩し、再び積み上げる「切り返し」を5~7日おきに行い、発酵を促す。発酵熱は70度以上にもなり、強烈なアンモニア臭が生じる。「切り返しを20回くらいしないといけないので、体力的にもきついし臭いもきついし大変でした」と生徒たち。
非常に手間のかかるきつい作業ばかりだが達成感は大きく、やり遂げた生徒たちは「この専攻班で活動できて良かった」「城西高校でしかできない経験ができた」と口をそろえる。
活動は校内にとどまらない
阿波藍専攻班の活動は校内にとどまらない。商品開発や学校内外での販売、小中学生や保育園児向けの体験教室、収穫した藍の種子の全国への無料配布などにも取り組んでいる。海上自衛隊や、地元の野球チーム「徳島インディゴソックス」とも連携。インディゴソックスの選手が試合で着用する靴下は城西高校で染色したものだ。
同校はタデアイの栽培(1次産業)から加工(2次産業)、商品開発・販売(3次産業)の要素を融合させ、阿波藍の6次産業化を実践している。さらに、上級学校への進学を目指し「6次産業ビジネスのコースで、食藍の加工や商品化をやってみたいと考えています」と卒業後も藍について学び続ける生徒もいる。
SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)での発信も生徒たちが主体的に行っている。海外から見学者が訪れた際には「言葉が通じないにもかかわらずジェスチャーなどを駆使して積極的にコミュニケーションをとってくれました」と岡本さん。