「ゲリラ豪雨」と「夕立」の違いは? どちらも急激な雨を表す言葉だが… #災害に備える
危険をイメージしやすい言葉として…
一方、天気予報などの気象関連サービスを提供する日本気象協会では、条件付きで「ゲリラ豪雨」という言葉を使っています。 同協会広報室の担当者によると、「短時間に狭い範囲で、突然激しくもしくは猛烈に降るような大雨を、『ゲリラ豪雨』と呼ぶことがあります。川の水位の急増や、低地の浸水などが起こり、重大な事故を引き起こす恐れがありますので、注意喚起のため『ゲリラ豪雨』という言葉を、危険をイメージしやすい言葉として使っています」といいます。ちなみに「ゲリラ豪雨」という言葉が社会に浸透していることから、5年ほど前から使うようになったそうです。 「ゲリラ豪雨」のように予報用語にない言葉について、同協会は受け手に受け入れられる言葉かどうか、現象が正しく伝わるかどうかを踏まえて使用の可否を判断しています。例えば、急速に発達する低気圧を意味する「爆弾低気圧」。気象庁は「急速に発達する低気圧」などと言い換えていますが、同協会は「攻撃や戦闘を連想して好まれない方もおられると思います。しかし、受け手が身に迫る危険をイメージしやすいとすれば、注意喚起に有効な言葉といえるでしょう」と説明します。 ちなみに、こうした予報用語にない言葉を使う場合、同協会では言葉の前に「いわゆるゲリラ豪雨」「いわゆる爆弾低気圧」というように前置きの言葉をつけているそうです。 ちなみに同協会にも「ゲリラ豪雨」と「夕立」の違いをたずねてみました。 「『ゲリラ豪雨』は季節や時間に決まりはありませんが、『夕立』は夏の午後から夕方に降るにわか雨や雷雨のことをいいます。また、『ゲリラ豪雨』は事故や災害に結びつくような雨の降り方ですが、『夕立』は雨の降り方が弱い場合も含まれます。『夕立』の一種として『ゲリラ豪雨』をカウントすることもありますが、逆はありません」 気象庁と日本気象協会で、使用する用語へのスタンスは多少違いますが、時に人々の命や財産に影響を与えうる気象に関する情報を正しく伝えて役立ててもらいたい、という思いは一致しています。 「局地的大雨」、「集中豪雨」、「ゲリラ豪雨」という言葉を見聞きしたら、警戒が必要といえそうです。 (取材・文:具志堅浩二)