【ランキング】受験生に人気の筆記具は? 見えてくるのは「物価高での節約志向」
文房具は受験生の生活に欠かせないアイテムです。約1600人の受験生を対象にした調査から、大学受験期を支えた「筆記具」「消しゴム」「ノート・紙製品」のランキングを読み解きます。ランキングで上位になっているものの、人気の理由も探りました。そこには、いまの時代の情勢が反映されています。(写真=Getty Images) 【ランキング】大学受験期を一番支えてくれた筆記具は?
筆記具は、機能性を重視
Studyplusトレンド研究所は、2023年度に大学受験をした全国の「Studyplus」ユーザーを対象に、「大学受験期のトレンドに関する調査」を実施(回答者1608人)。受験期を支えたコンテンツやアイテムなどを聞き、「受験トレンド白書2024」として公表しています。 朝日新聞「Thinkキャンパス」編集部では、このうち、受験生の必須アイテムである「筆記具」「消しゴム」「ノート・紙製品」の調査結果に注目しました。どのような結果だったのか、順に見ていきましょう。 筆記具の1位は「クルトガ」(三菱鉛筆)。「自動芯回転機構『クルトガエンジン』」を搭載し、常に細い字を書けるように工夫されたシャープペンシルです。前年の調査(「文具全般」で調査)でも第1位になっています。 2位の「ドクターグリップ」(パイロットコーポレーション)も、回答者10%ほどの得票があり、前年と同順位。やや太めのグリップが特徴で、ホームページには「人間工学に基づき、無理なく握れる軸径を採用。筆記時に肩や腕にかかる筋肉の負担を軽減する筆記具」と紹介しています。いずれも受験生に定着している筆記具と言えるでしょう。 Studyplus Ads事業本部 総合プランニング事業部の伊藤芳(かおる)さんは、「アンケートの対象者には一般選抜を間近に控えた受験生も含まれています。それだけに少しでも勉強のパフォーマンスをよくしたいという思いから機能性を求めているのではないかと感じます」と言います。
中高生の多くは物価高を意識
次に、消しゴムです。1位は「モノ消しゴム」(トンボ鉛筆)で、回答者の半数近い票を集め、2位の「アーチ消しゴム」(サクラクレパス)を大きく引き離しています。 一方で、「大学でもらった消しゴム」「『合格』と書いてある金色の消しゴム」といった回答も多かったそうです。 「消しゴムについては、筆記具に比べて、『これじゃないとダメ』というこだわりを持つ受験生はそれほど多くないのかもしれません」 伊藤さんによれば、それをうかがわせるのが、Studyplusトレンド研究所が全国の中高生1816人を対象に行った「物価高についての調査」(24年7月)です。この調査では、中高生の75%以上は物価高に対する関心度が非常に高く、70%以上の中高生が「友人や家族とこの話題について話す」と回答しています。 「物価高に対する自身や周囲の対応として、『外食や学食の利用を控えて、自炊やお弁当に変えた』『価格が安いもやしが食卓に出る回数が増えた』『親がパートを開始した』などの回答もありました。中高生が親の大変さを観察している様子がよくわかります。受験生も同様に、文房具のうち、こだわりのない物については、『安価なものでいい』『もらったものを大事に使う』など、節約しているのではないかと予測しています」 こうした節約傾向はノートのランキングからも垣間見えます。 1位は保護者世代のころから知られるノートのブランド「キャンパス」(コクヨ)ですが、3位はリーズナブルな価格で知られる「ロジカルノート、ロジカル・エアーノート」(ナカバヤシ)が入っています。 「ランキングには入れていませんが、『100均ノート』という回答が100票程度ありました。100均ショップで取り扱われている『コンティニュー』(協和紙工)などを書く受験生もおり、消しゴムと同様に、ノートも消耗品として安価なものを求めている受験生が多いことがわかります」 2位の「無印良品」(良品計画)のノートには、「蛍光ペンやボールペンで書いても、裏うつりしにくいノート」とうたっているものが複数あります。「安価であることに加え、勉強のパフォーマンス向上の観点からこの『裏うつりしにくい』という特徴も人気の理由と考えています」