映画ライター厳選!「公開本数多すぎ問題」で面白いのに見逃されてる、2024年公開の良作5【エンタメベスト2024】
映画ライターとして2024年を振り返ると「ああ、この映画はもっと世の中に見られるべきだった」「この映画を見てないなんてもったいない」という作品だらけ(毎年ですけど)。 【動画】映画ライターが「これ観てないなんてもったいない!」と断言、2024年公開の良作映画5作予告(動画5本) 昨今の映画業界は「公開映画の本数多すぎ問題」がありまして、10年くらい前までは1年間に800~900本くらいだった公開映画が、ここ数年は1400本くらいにはなっている気がします。1400本っていったら、1日に4本、週に27本見ないと全部は見られない計算で、ぶっちゃけ、映画見のプロでさえキャパオーバー状態なわけで、一般の人には「めっちゃいい映画なのにタイトルさえ知られていない」作品がざっくざくあるわけです。 ということで、今回は今年公開された「もっと見られてもいいはず!」な作品をピックアップ。感動し、震え上がり、社会を知り、自らを省み、生き方に惚れ惚れし……というバラエティに飛んだラインナップを、年末年始のお休みにぜひ御覧ください!
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』
1970年のクリスマス、ボストンの名門寄宿高校を舞台に、帰る場所がないがゆえに寄宿舎にとどまることになった3人――斜視のある偏屈な嫌われものの歴史教師ハナム、成績優秀ながら反抗的な問題児アンガス、寄宿舎の料理長である黒人女性メアリー――の休暇を描くドラマ。 孤独と心の痛みを抱える人間は、強がることで自分を支えながら、同時にその辛さを理解してくれる人を切望してもいます。彼らは別に生涯続く絆を得たわけではなく、ただ誰もいないガラーンとした寄宿学校の中でただ一緒に休暇を過ごすことになっただけ。でもだからこそ、ちらりとでも自分が隠して続けてきた心の傷を見せることができたんだ、武装解除ができる「休暇」だったんだなと。人間ってこういうものなんだよな、と感じます。 これみよがしでなく描かれた3人の「心の休暇」の最後には、涙腺崩壊の展開も待っています。昨年のアカデミー賞では、メアリー役のダヴァイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞しましたが、見終わった後は、ノミネートに終わったポール・ジアマッティに主演男優賞をあげたかった! と誰もが思うはず。クリスマス映画でもあります!