豪5兆円企業Canvaは、なぜ社員の「ランチタイム」を大切にするのか
採用時「学歴不問」にした理由
勢いはとどまるところを知らない。フィリピン、中国、米国、英国、ニュージーランド、オーストリア、チェコと拡大してきて、今年は日本法人を設立。サービス対象は190カ国に広がり、対応言語は100を超える。Canvaのプラットフォームを使って作成されたデザインは250億件以上にのぼる。 社員数も急増している。毎週2桁の数の積極採用を続け、1年前に4000人に達したが、早くも5000人に届きそうな勢いだ。Canvaには、出身も専門領域も多様な社員が集まっているが、さらに多様な人材を取り入れるため、評価の公平性を追求し、数年前に採用における学歴要件を廃止した。 流刑植民地だったオーストラリア。すべての人が平等かつ公平(Fair)に扱われるべきだとする「Fair Go」の精神は、オーストラリア社会を支える大きな柱だ。年齢や役職、経験などによる上下関係をあまり意識せず、フラットな関係を構築する傾向がある。Canvaが学歴不問としたのは、その精神の表れかもしれない。 「ポジティブな行動、包括性、多様性により、より素晴らしい世界を」と呼びかけるCanva。誰であろうと互いに違いと強みを認め合い、対等な立場で共に成長していこうとする姿は実にオーストラリア的であり、世界という多様性の塊を相手にさらに輝きを増していきそうだ。 キャンバ◎デザインを通じて世界をより良くしたいと、メラニー・パーキンスと夫のクリフ・オブレヒト、キャメロン・アダムスの3人がオーストラリアのパースで創業。2013年、シドニーに本社を設立。全世界を市場と捉え、多様な人材を積極採用している。社員数は15年当時50人だったが、19年に500人、事業が急拡大した23年には4000人を超えた。
Forbes JAPAN 編集部