ドジャース「キケポーズ」と盆踊りの共通点、連帯感を強める「幸せの脳内ホルモン」とは?
● ハイになれる脳内ホルモン 「エンドルフィン」とは? 実は皆で踊るという行為には幸福感をもたらす効果があり、ドーパミンやセロトニンの分泌を促して多幸感を生み出すことが多くの研究で明らかになっています。 それに加えて最近踊りとウェルビーイングの関係性において注目されているのが「エンドルフィン」です。 エンドルフィンとは、いわゆるハイになれる脳内ホルモンのことです。心肺機能を高める運動をすると、脳内にエンドルフィンが放出されます。それにより、痛みなどのストレスが緩和されるとともに、高揚感や幸福感が得られると言われています。 英国のオックスフォード大学の心理学者Bronwyn Tarr博士率いる、実験心理学者とプロダンサーらの合同チームが、264名のブラジル人学生を2つのグループに分けて「Royal Society」という名の実験を行いました。 1つのグループには、全身を使うダイナミックな動きを教え、もう1つのグループには、手の動きだけで表現するダンスを教えました。その後、覚えたダンスをまずは個人で、次にチーム全体で踊ったところ、全身でのダンスも手の動きだけのダンスもチームで踊った時にのみ、精神的健康状態が向上したという結果でした。 さらに全身で踊るグループは、チームで踊った際に「エンドルフィン」を多量に分泌していることが明らかになったのです。 エンドルフィンの特徴として、モルヒネと同じ受容体と結びつくことで人体に多幸感を与えることが挙げられます。そのため「脳内麻薬」と呼ばれることもあり、実際にエンドルフィンにはモルヒネの約6.5倍に及ぶ鎮痛作用があるといわれています。 「エンドルフィン」の分泌により、陶酔感が得られ、嫌なことを忘れるだけでなく、免疫力が高まることも研究により確認されています。 オックスフォード大学の実験では、チームでのダンスによるエンドルフィンの分泌がストレスを和らげ、精神的にも健康をもたらし、社会的連帯感を高める要因だと結論づけています。 この実験結果のポイントは、個人で踊っても出なかったエンドルフィンが動きのダイナミックさに関係なく、手の動きだけでもチームで踊ったときのみに分泌されたという点です。それはつまり、どんなに激しく一人でも踊っても幸福感は得られないということです。