米国が対中輸出規制の強化を韓国に求める、半導体技術巡り-関係者
(ブルームバーグ): 米国は半導体テクノロジーについて、韓国に対し米政府がすでに実施しているのと同じ対中輸出規制を導入するよう要請している。半導体を巡る中国の野心に対抗する取り組みをバイデン政権が強めている新たな兆しだ。
事情に詳しい関係者によれば、米政府は韓国に対し、先端のロジック半導体や半導体メモリーを製造する装置や技術の中国への流出を制限するよう求めている。関係者は非公開情報だとして匿名を条件に取材に応じた。
関係者の1人は、14ナノメートル(nm)より高度なロジック半導体や18nmより進んだDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)などが対象になっていると語った。これは、米商務省が2022年に初めて発表した一連の措置と一致している。
米国の当局者は今年3月に韓国の尹錫悦政権とこの問題について深く議論したという。
米国は6月半ばに開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)前に合意に達したい考えだが、韓国側は中国が重要な貿易相手国であることもあり、米国の要求を満たすかどうか引き続き議論している。
米政府の韓国に対する要求は、これまで詳細が明らかにされたことはなかった。米国は同盟国に対し、中国企業向けの半導体装置の保守点検を制限し、中国へのスペア部品と半導体に関係する化学製品の輸出を制限するよう、新たな働きかけを行っている。
ブルームバーグ・ニュースは3月、 米政府が日本やオランダ、ドイツ、韓国を含む同盟国に対し、中国による半導体技術へのアクセスを制限する措置を一段と強化するよう迫っていると関係者の話として報じた。
韓国は、半導体の生産と半導体製造装置のスペア部品提供で主導的な役割を果たしている。
米韓の協議日程は、ずれ込む可能性もある。関係者によると、韓国と日本、米国の当局者は6月後半に会合を開き、先端技術とサプライチェーンに関する協力について話し合う予定。
韓国の当局者は、サムスン電子やSKハイニックスなど自国の大手企業が中国で操業している場合、対中輸出規制が中国政府から何らかの罰則を誘発する可能性を警戒している。