宇都宮ライトレール、国内初の全線新設LRTに「課題」 外国で主流の乗客を〝信用〟する運賃収受方式とは? 「鉄道なにコレ!?」【第50回】
ただ、乗車時にカードリーダーにタッチするのを忘れたり、エラーを起こしたりすれば運転士に申し出て対応してもらう必要がある。こうした事態も電車が遅れる原因となりかねない。 ▽軌道に乗せる「近道」は 宇都宮ライトレールは当面、ピーク時の運転を約8分間隔、ピーク以外は約12分間隔とし、運営が軌道に乗った後にそれぞれ約6分、約10分に間隔を狭める計画を表明している。これは運賃収受方法などに利用者が慣れるために時間を要すると見込んでいるためだ。 現在は各駅に止まる普通電車だけを運行しており、宇都宮駅東口―芳賀・高根沢工業団地の所要時間を約48分に設定している。宇都宮ライトレールは運賃収受などが周知されればダイヤを見直し、約44分で結べるようになると想定している。一部停留場を通過して約37~38分でつなぐ快速電車の導入も計画している。 利用者がより円滑に運賃を支払えるように後押しするため、筆者は現金利用者向けに両替機を停留場に設置することを提案したい。整理券発行機に隣接して設置し、整理券を取ることを周知する文言と運賃表を張り出せば利用者が事前にぴったりの運賃を用意でき、降車時にすぐ支払えるようになる。500円玉や千円紙幣を両替できるようにするのはもちろん、車内の運賃箱が対応していない2千円、5千円、1万円の各紙幣の両替にも対応させることが望ましい。
両替機は全ての停留場に設けることが理想的だが、予算の制約などで難しい場合はせめて主要停留場の宇都宮駅東口、宇都宮大学陽東キャンパス、グリーンスタジアム前、芳賀・高根沢工業団地などには設けてはどうだろうか。 投資額が膨らみ、両替機からの現金回収といった作業が必要になることに難色を示す向きもあるだろう。しかし、宇都宮ライトレールの運行を軌道に乗せてストレスなく利用できる環境を整備すれば、「通勤や買い物などを自動車に依存している人が多い」(地元住民)とされるマイカー族に移行を促して環境負荷が低減する「近道」にもなるのではないだろうか。 ※「鉄道なにコレ!?」とは:鉄道と旅行が好きで、鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」の執筆者でもある筆者が、鉄道に関して「なにコレ!?」と驚いた体験や、意外に思われそうな話題をご紹介する連載。2019年8月に始まり、ほぼ月に1回お届けしています。ぜひご愛読ください!