宇都宮ライトレール、国内初の全線新設LRTに「課題」 外国で主流の乗客を〝信用〟する運賃収受方式とは? 「鉄道なにコレ!?」【第50回】
▽ワンマン運転の宇都宮ライトレールでは、現金支払いが遅れの原因に これに対し、宇都宮ライトレールは全ての電車がワンマン運転で、現金で支払う利用者の運賃支払いなどにも立ち会う。運賃収受方法を「課題」と指摘したのは、開業前に収受方法について調べ、運行の遅延を招く原因になりかねないと危惧したからだ。 課題の一つはライトレールには片側に扉が4カ所あるが、運賃を現金で支払う場合に降りられるのは、進行方向先頭の扉の1カ所だけに限られることだ。乗車前に停留場の発行機で受け取った整理券を運転士に提示し、ぴったりの金額がない場合は運賃箱に併設した機能で両替し、運賃箱に正確な金額を投入する必要がある。 宇都宮ライトレールは区間別で異なる運賃を採用しており、乗車駅から3キロ以内の初乗り運賃が大人で150円。3キロ超から7キロ以内は2キロごとに50円を加算し、7キロ超は3キロごとに50円を加算する。宇都宮駅東口から終点の芳賀・高根沢工業団地まで乗れば400円だ。
多様な運賃が設定されている中で、ちょうどの金額を持ち合わせていない利用者が後方の扉から乗車し、混雑のために先頭になかなかたどり着けない事態も生じうる。そうなれば降りる停留場に到着してから先頭の扉へ向かい、両替をしてから運賃箱に支払う利用者が続出すると電車の遅れを招くことになる。 運賃箱で両替できる紙幣は千円札だけで、2千円と5千円、1万円の各紙幣には対応していないのも不安材料になると筆者は開業前に受け止めていた。 実際に運行が始まってからは現金払いの利用者が想定されていたより多く、遅れが頻発していると報じられている。 ▽交通系ICカードにも遅れを引き起こす懸念 一方、交通系ICカードは、栃木県で2021年3月に発売された「totra(トトラ)」に加え、「Suica(スイカ)」や「TOICA(トイカ)」、「ICOCA(イコカ)」など他の交通系の計10カードに対応している。 交通系ICカードを持っていれば片側4カ所にある扉のいずれからも乗り降りが可能だ。乗車時にはそれぞれの扉脇の下側にある緑色のカードリーダーにかざし、降車時は上側にある黄色のカードリーダーにタッチすることで精算される。乗車時にICカードを触れると画面に残額が表示され、不足していた場合は先頭または最後部にある運賃箱でチャージ(入金)できる。