宇都宮ライトレール、国内初の全線新設LRTに「課題」 外国で主流の乗客を〝信用〟する運賃収受方式とは? 「鉄道なにコレ!?」【第50回】
LRTは英語の「Light Rail Transit」の頭文字の略で、日本では「次世代型路面電車」などと呼ばれる。JR在来線の電車などと比べて小型・軽量の車両を使い、都市部では自動車と共用する併用軌道を走り、土地がある近郊区間ではLRT車両だけが走る専用軌道を設けるのが一般的だ。 このため併用軌道では運行速度が一定以下にとどまるものの、専用軌道ではスピードを一気に上げて走る。近郊の住宅街から都市部へ向かう通勤通学客が多く利用しており、近郊の停留場を発着する路線バスと乗り継いだり、隣接した駐車場に止めたマイカーと乗り換える「パーク・アンド・ライド」を活用したりするケースが目立つ。大都市の中心部へ流入する自動車が減り、脱炭素化に役立っている。 多くのLRTは超低床車両を用いており、地上にある停留場のプラットホームとほぼ段差なく乗り降りできるため高齢者や車いす利用者らにも優しいのが持ち味だ。
投資額が比較的抑えられるのも利点で、国交省によるとLRTの一般的な整備費は1キロ当たり20億~40億円と、モノレール・新交通システムの100億~150億円、地下鉄の200億~300億円を大きく下回る。 ▽先例となった旧富山ライトレール 国交省は補助金を支給して導入を後押しする「LRT総合整備事業」を2005年度に開始し、先例として富山市に旧富山ライトレール(現在の富山地方鉄道市内電車の一部)が2006年4月に開業した。 この路線は旧JR西日本富山港線(富山―岩瀬浜間)を引き継ぎ、LRTに転換した。通常の電車だったのを、お年寄りや車いす利用者も乗り降りしやすい低床式車両に変更。途中駅を増やして運行頻度を高めたことで格段に使いやすくなり、JR西日本時代の「赤字のお荷物路線」(元首脳)が全国から注目を浴びる先駆的な公共交通機関に一変した。 富山市は路面電車の沿線に住居や商業施設、オフィスなどの機能が集まった拠点集中型のコンパクトシティーの実現を目指した。2009年12月に富山地鉄市内電車を中心部で延伸し、環状運転をできるようにした。さらに旧富山ライトレールと富山地鉄市内電車の直通運転も2020年3月に始まり、利便性が一段と向上した。