【毎日書評】ざっくりわかったつもりで終わらせない「超要約」読書法
ご存知の方も多いと思いますが、「flier(フライヤー)」は累計会員数が120万人を突破(2024年10月現在)したという本の要約サービス。『必読ベストセラーを超要約! ビジネス書大全』(本の要約サービスflier編集部 著、新潮社)は、そのエッセンスをさらに要約した、文字どおりの“超要約”版です。 flierは、ビジネス書を中心とした本の内容を「1冊10分」に要約し、スキマ時間を活用してアプリやWEBで閲覧できるサービスです。「1冊10分」でほんのポイントと魅力をつかみ、さらに「実際に本を手にとって読みたくなる」ことをめざしています。(「はじめに」より) 重要なポイントは、この文章の後半部分。つまり単に要点をさらうだけではなく、「実際に手にとって読んでみる」ことの重要性が根底にあることです。時間短縮の有効性ばかりが過度に強調される現代において、この部分を見失わないスタンスには大きな意味があると感じます。 いいかえれば、flierも、そこから派生した本書も、読書の本質を伝えるためのツールであるということ。書店に平積みされた本のなかから好みの一冊を見つけ出すのと同じ感覚で、自分に必要な本を探し出せるわけです。 この本では、それぞれの本を、「要点」「おすすめポイント」「一読のすすめ」という角度から、シンプルかつコンパクトに紹介します。(「はじめに」より) そんな本書の第3章「仕事・勉強術」のなかから、きょうは“仕事”に関連した2種の書籍についての解説を抜き出してみたいと思います。
「最速」が成果につながる 『トヨタの会議は30分』(山本大平 著、すばる舎)
要点1:トヨタの会議は30分が基本。30分会議を励行することで、年間2カ月分の勤務時間を捻出できる。 要点2:会議中にメモを取ることをやめ、話を集中して聞くようにすると、相手を見て非言語の情報も取り入れることができる。その方がスムーズな意思疎通が可能になる。 要点3:1分で上司から承認をもらえる資料をつくるには「何の話か」「上司にどんな回答や判断が求められているか」「結論」「論拠」「補足」を順番に書くことが大切。 要点4:失礼すぎる相手に対しては30分怒りを寝かせてみる。相手にする必要がないと少しでも思えば、最低限の対応だけして無視してしまう。 (146ページより) おすすめポイント 「なにをするにも根回しが必要」だとか、「人間関係優先で仕事が動いていて、コミュニケーションスピードが遅い」というようなことは、よく聞く非効率な会議の典型であると著者。 しかし世界を代表する企業であるトヨタ自動車では、そうした遅いコミュニケーションは存在しないのだとか。直接的に意見を出し合い、議論を重ね、素早い意思決定を行なっていくというのです。 本書のタイトルである「会議は30分」というのは最速・骨太のコミュニケーションを表したものである。そのコミュニケーションスピードはGAFAMやBATHなどITの巨人たちにも負けないという。(147ページより) 本書はトヨタ、TBSテレビ、アクセンチュアで経験を積み、マーケティグ総合支援会社を創業した著者が、“最速で骨太のコミュニケーション術”を解説したもの。トヨタで身につけた仕事術は、異業種に転職した際にも有効だったと著者は説いています。 一読のすすめ 会議を進行するコツ、資料作成のポイント、理不尽な相手に対応する方法など、すぐに役立つノウハウ満載なので、本書を活用すれば、自身を確実にレベルアップできるはずだと著者は述べています。また、仕事上の失敗やフラストレーションに関する著者の実体験には、共感できる部分も多いでしょう。(146ページより)