“学歴のある人お断り”の転職サービス。「大学時代に逮捕されたこと」が“拝金主義だった”創業者の転機に
相談者の人生は転職後もずっと続くからこそ…
キャリアアドバイスをするとき、バトルクライ株式会社で大切にしている矜持がある。 「相談者の目線になることはもちろんですが、その人が10年後にどうなっていたいかというビジョンを共有して、そこから逆算して今できることを提案しています。転職サービスは、そのときの転職の可否だけで関係性が切れてしまいがちですが、相談者の人生は転職後もずっと続いていきます。特に、武器を持たない人々を顧客にしている私たちは、刹那的な関わりではなく、人生そのものを請け負う気概をもってやらねばと考えています。 サービスが多くの人たちに認知され、失敗した人が『まず門を叩いてみよう』と思えるような、そんな相談しがいのある会社に成長していくことを目指しています」
今後はメタバースで買い物ができるサービスを
社会的に必ずしも有利な立ち位置にいない人たちを支援する――その理念はすべてに通底しているのだと仲田氏は続ける。 「実は今年10月から、新たなサービスを始動させる予定です。それは、弊社が作り上げたメタバース(仮想空間)で買い物ができるというものです。身体障害などによって現実世界では自由に買い物ができなかったり、あるいは僻地に住む高齢者など、社会的に取り残されてしまっている人たちが楽しめる空間を創出したいと私たちは考えています」 人の善意を貪り、がむしゃらに稼ぐ。資本主義の魔力に魅せられていた大学生時代、奈落につき落ちたことで仲田氏は人の真心に出会った。これまでなら到底かかわることのなかった人種との邂逅こそ、人生の第二章の起点に他ならない。 世の中には、自力ではままならないことがごまんとある。口先だけではなく骨身に染みたからこそ、仲田氏は再起をかけたお節介を焼く。相変わらず世界は歪で、与えられた挑戦の機会さえ隔たりがある。けれどもせめて縁があった人たちには、「もう一回」を提供したい。それが「もう一回」を許されて市場経済に戻ってきた穎才の、静かな決意にも思える。 <取材・文/黒島暁生> 【黒島暁生】 ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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